売れっ子ハンドメイド作家になる本 の感想

おおむね、悪くない本だと思います。経済観念なく作家業をやっていくのも難しいですから、こういう視点の本が出たことは良いと思う。
ただ、ちょっと気になるのが、作家はなぜ作家であるのか、という点をまったく考慮していない点です。
とくに、オリジナリティ、創造性といったことを軽視しすぎています。
「既存のアイディアに自分風のスパイスを振れば良いのですよ」といった言及は危険だし、「たくさん作るために工程を省く」といったことを、安易にそのまま受け取ってしまうのは怖いことです。それで良いと信じた”ちょっと自分風作家”が乱立したら、日本のハンドメイド市場はレベルの低いものになっていくでしょう。また、手に入りやすい材料を仕入れ、量産できることに重点を置いていますが、それでは作家というより前貸しなしの問屋制家内工業です。
作家を仕事にしていくための指南書はこれまでもありましたが、どうも仕事として成立することと、創造性、つくる楽しみや大変さのバランスを程よく掘り下げられたものには会えません。
やはり、自分の立ち位置を考えていくことも大切だと思います。

全ての項目が見開き2ページで書かれているので、とても見やすくサラっと読めてしまいます。
しかし内容は濃く充実しているので、何度も気になるところを読み返したくなる作りになっています。まさに教科書のようで、自分のバイブルにしたいと思える1冊です。
特に仕入れや材料の管理の仕方は、ハンドメイド作家目線でここまで詳しく書いてあるものはないので、大変勉強になりました。
読んで、まずできるところから早速実践しています。