Atlas of Science: Visualizing What We Know の感想

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　流石にアメリカの学術界をあげての「科学の地図」を描いた１冊。編者は図書館情報学のドイツ系女性教員だがが、編者は電気工学をライプチヒ大学で修めている。その後アメリカで図書館情報学を修めている。アメリカでは基礎科学の研究の幅が広く深いので、本書のような研究プロジェクトが多数あり、科学の普及に貢献している。研究基金は、NSFとNIHが中心になって、３年がかりで進み、本書のオンライン版もある（検索してアクセスされたい）。本書でも興味深いのは、未来の科学の地図が最終５章に設定されている。完成は2014年の予定のようで、今後がさらに楽しみ。
　本書は既存の人類が産み出した科学知識、科学そのものを地図（map）に描き出そうとした壮大な企画で、２万年前の人類の誕生から現代までを、３次元＋時間軸でプロットし、様々な観点から、宇宙、地球、脳の地図に描き出す試み。
　基礎になっているのは引用索引データなど科学情報の可視化を行う手法が活かされている。科学の地図だけあって、基礎となる情報は精緻で、ここまで様々な情報が活用できることアメリカの研究体制の奥深さを知らしめる1冊。日本には無理であり、その成果が1冊の大きな絵本として、さらにはHPとして公開されていることが素晴らしい。日本人研究者の成果も反映している。実に割安な活きる科学誌の著作。現時点で2188円ですが、日本で作れば6千円では収まらないであろう。買って損はないどころから、瞠目の１冊であることを保証する。研究者にも有効だが、教育者や学生が利用することで本書の意図と目的はより精彩を帯びよう。
　次作は現在進行中のプロジェクトの成果として、Atlas of Knowledgeの刊行が2014年に予告されている。これは知全体を対象にしており、人文社会科学を視野に入れた全体であり、大いに期待する。