万延元年のフットボール (講談社文芸文庫) の感想

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参照データ

タイトル万延元年のフットボール (講談社文芸文庫)
発売日販売日未定
製作者大江 健三郎
販売元講談社
JANコード9784061960145
カテゴリ文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学 » あ行の著者

購入者の感想

 過剰な修飾、あふれ出る語彙、圧倒的な小説である。現在の流行作家にも、饒舌体めいた文体を使う人はいる。だが、本書は描かれたがっている内実が、次から次へと言葉を求めているかのようだ。言葉の奔流が、無駄ではなくぜいたくと感じられる。
 戦後からの脱却、地域社会の自立、地域文化の再発見と再評価、障害児という個人的な困難、学生運動のベクトルの矛先 … 時代と個人の問題が渾然一体となり、読者を巻き込んでゆく。
 大江文学の最高到達点の一つだと、今回再読して確認した。
 ただ、文学と世界の関わり方が、現在はこの地点から遠く変容しているのだ。

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