他人を非難してばかりいる人たち バッシング・いじめ・ネット私刑 (幻冬舎新書) の感想

アマゾンで購入する

参照データ

タイトル他人を非難してばかりいる人たち バッシング・いじめ・ネット私刑 (幻冬舎新書)
発売日販売日未定
製作者岩波 明
販売元幻冬舎
JANコード9784344983908
カテゴリジャンル別 » 人文・思想 » 倫理学・道徳 » 倫理学

購入者の感想

 近年の日本では、何か不祥事が起きると、それとは無関係の人(週刊誌や、スポーツ誌の記者などと違って、何かスクープを書いても原稿料を貰えるわけではない人)までもがネット上などでバッシングをする傾向が非常に強くなっているが、その背景にはどのような社会構造があるのだろうか?

 この本は、バッシングが過熱する社会構造を、精神科医の岩波明さんが実際のケースを挙げながら独自の視点で考察するものであるが、実際にこの本を読んでみると、欧米とは違った、日本独特の要因が複雑に絡み合っていることがはっきりと分かる。
 例えば、この本の第5章では、メディアが元横綱の朝青龍に対して行ったバッシングの例が取り上げられていたが、確かに日本には岩波さんの言う通り、朝青龍のような外国出身の力士が、日本の国技である大相撲の頂点に君臨することを生理的かつ文化的に受け付けない風潮が強くある。
 そのため、当人が何らかの不祥事を起こすと、次の瞬間からメディアの評価が180度変わってしまうのである(余談だが、大相撲では2003年に貴乃花が引退してから、このレビューを書いた2015年時点まで日本出身の横綱が1人もいない状態が続いている。そのため、貴乃花の引退と入れ替わる形で横綱に昇進した朝青龍は、実質的な「憎まれ役」として相撲界の人気を支えてきたわけであるが、肝心のメディアはこの功績をほとんど評価しなかったのである)。
 しかも、日本の場合は岩波さんの言う通り、皆と同じであることが異常なまでに求められる傾向が強くある。
 そのため、何らかの社会的成功を収めると、周囲から称賛されるどころか、逆に反感を買われてしまうのである。
 いや、それ以前に現代の日本では、インターネットや、SNSや、フェイスブックや、ツイッターといった、B層を含む不特定多数を対象としたネットワークが完全に確立されてしまっている。
 そのため、特に著名人が衆人監視の目から逃れることが、事実上不可能になっている。
 つまり、現代の日本でバッシングを受けないためには、この本の表現を借りれば、当人が「完全無欠な『神』であり続けなければならない」のである。

あなたの感想と評価

コメント欄

関連商品の価格と中古

他人を非難してばかりいる人たち バッシング・いじめ・ネット私刑 (幻冬舎新書)

アマゾンで購入する
幻冬舎から発売された岩波 明の他人を非難してばかりいる人たち バッシング・いじめ・ネット私刑 (幻冬舎新書)(JAN:9784344983908)の感想と評価
2017 - copyright© みんこみゅ - アマゾン商品の感想と評価 all rights reserved.