地図で読む戦争の時代 の感想

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参照データ

タイトル地図で読む戦争の時代
発売日販売日未定
製作者今尾 恵介
販売元白水社
JANコード9784560081181
カテゴリジャンル別 » 歴史・地理 » 地図 » その他

購入者の感想

古地図を元に街を歩くのが流行している。そのためのガイドブックも数多く出版されている。しかし、本書は他の類書をはるかに凌ぐ奥の深い良書である。

とりあげられた139枚の図版(地図と図表)は戦前の大日本帝国陸軍作成のものから東ドイツ、ロシア、占領期のアメリカ、持ち出しを禁じられている「戦時下」の韓国のものまでにおよび、対象の地域は旧満州、日本統治下の朝鮮・台湾はもちろんのこと、戦争に関わってベルリンにさえ拡がる。

大きく4つのテーマに分かれている。「戦争の傷痕」、「植民地と領土」、「秘匿される地図」、「軍事施設のその後」。いわく、焼け野原の街は白く塗り替えられ、広島の被爆地区は「タテ縞」であらわされた。軍事秘密にされた地域は公園に書き換えられ、等高線もトンネルも消され、あげくのはては空白にされた。陸軍工廠跡が後楽園の東京ドームになり、歩兵第一連隊兵舎跡は東京ミッドタウンに。

それぞれのトピックを通して浮かび上がってくるのは、「一介の地図愛好者」と卑下する著者がもつ透徹した批判精神と問題意識の明確さである。戦争目的のために歪められ改ざんされた地図それ自体と偽造を強要された地図製作者への思いが、声高な言葉以上のものを物語っている。

絶賛に値する。

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白水社から発売された今尾 恵介の地図で読む戦争の時代(JAN:9784560081181)の感想と評価
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