おいしい葡萄の旅ライブ -at DOME&日本武道館- (Blu-ray完全生産限定盤) の感想

アルバム「葡萄」をひっさげて行われた2015年のツアーの模様が収録。
よくこんな長くやるよなと思える、3時間半にも及ぶライブが2本と、限定で力作のドキュメンタリーが1本。その他、おまけ。
今のサザンオールスターズを堪能できる。量感たっぷりだ。

本編は質の面でもいつもながら、充実してる。
古いファンも新しいファンも、マニアなファンもそうでないファンも、どんな人でも楽しめる、どこかには引っかかる、間口の広さを今回特に感じた。
そして、アルバム「葡萄」からは1曲を除いて、すべて演奏された。
新曲なのに馴染んでちゃんと聴けた。

演奏された既発曲からは、「おいしいね~傑作物語」からの何曲かが印象的であった。
裏サザンともいうべきダークで皮肉もたくさん含んだ90年代あたりの曲から、桑田さんのストレートな心境を反映したような近年の曲へと移る。
時代に応じた変化を見てとれる気がした。
特に、「道」「栄光の男」からの、「東京VICTORY」は圧巻。

ドキュメントフィルム自体は以前からあったが、今回は本格派でとても良い出来だった。
そして、メンバー一人一人により焦点があたっている。
サザンは桑田さんの存在を大きく感じるバンドではあるが、フィルムではメンバーの存在を強く感じることができた。
たとえばドラムのヒロシさんは、サザンの屋台骨を強く支えていることが改めてわかる。

「齢60にしておかげさまで成長させてもらえた」とは桑田さんのドキュメンタリーでの弁だが、
ここまでのキャリアでこんなことを言うのか、と驚いた。
そこが長い人気の秘訣なのだろう。

サザンから観る側へ伝えたいメッセージというものを仮に言葉にするならば、とてもシンプルなものになってしまうのではなかろうか。
それをメンバー、サポート、スタッフの総力戦で多様に表現されるのですさまじく届いてくる。

ファンの贔屓目もあるけど、これからもやっぱり期待せずにはいられない。