生きるということ の感想

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参照データ

タイトル生きるということ
発売日販売日未定
製作者エーリッヒ・フロム
販売元紀伊國屋書店
JANコード9784314001816
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購入者の感想

この本を最初に読んだのは、10代の後半だったが、人生で最も影響を受

けた本かもしれない。

フロムの言う「あること(to be)」とは、仏教における無執着・禅の悟

りの境地に近く、親交のあった鈴木大拙の影響が見られる。「仏教ブー

ム」の昨今、西洋の思想家にもこういう人がいたことを知ってもらいた

い。そして、この本をきっかけにフロムの初期の著作に進むとなおよい

と思う。

しいて難点を言うならば、彼の『正気の社会』などにもみられるのだ

が、本書後半でフロムの構想する社会思想が、非常に粗削りでナイー

ブ、そしてユートピア的なものである点。

しかしそれを差し引いても、存在とは何か、生きるとは何かを考え、迷

っている若者や社会人に、一つの力強い方向性を示してくれ、人を勇気

づける本だ。現代の古典的名著だと思う。

蛇足ながら。本著を読んでも、「自分は〈あること〉で生きていないの

ではないか」などと日常、くよくよ悩まないこと。それも一つの執着で

あり、「持つ様式」だろう。「過ち」や「欠点」も含め、今ある全存在

を肯定して、少しずつ「あること」に近づいていく<プロセス>こそ、

あること(being)の道なのだから。

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