人を描くのって楽しいね！衣服編 (廣済堂マンガ工房) の感想

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この手のハウツー本は、えてして
デッサン力の微妙なセミプロが絵を担当されていて
内容も、………な物が多いです。

そんな中で、この本の作者さん、
デッサンの正確さでは桁違いです。

作者さんのことは詳しくは存じませんが、恐らく
本気で美術をやってらっしゃったのでしょう。

補助線の使い方が明確で、分かりやすいです。
語り口も、少し古い感じもしますが、ユーモアに溢れています。

私はアニメーションの作画を仕事としていて
時に作画監督やキャラクターデザインも手がけます。

仕事柄、この手の参考書は沢山手にしてきましたが
上から数えて５本の指に入るほど、使える本です。

ただ、絵が上手いだけでなく
「三角定規の形だよ」「カタカナの　ソ　の形のシワだよ」と
人体やシワの構造を
覚えるのに有意義な「記号化」が、そこかしこでなされています。

程度としては、中級者以上に向けた内容かと思います。
絵をある程度描いてきて、既存の参考書に書かれてることでは
物足りなくなってきた、そんな方には
うってつけでしょう。
中程度以上に絵が上手い方は、このような参考書の仕事は
なかなか手がけません。そういった方は、たいてい漫画やイラストなどの
本業がお忙しいので。
そういった理由でも
このレベルの本にはなかなかお目にかかれないでしょう。

しかし、初心者の方にもオススメ出来るほど易しく、充実した内容になっています。
なぜなら、よくある
初心者向けに描かれてる本にあるような「人体をただの箱ロボットに置き換えて考える」ことから
頭一つ飛び抜けた説明がされているからです。
1度「頭は○　胴体は四角」と思い込んだら
なかなかそこから抜け出せないものですが
この方は「肩周りは三角錐だよ」のように
思い込みから抜け出せる、観察へのヒントを
教えてくれています。