Category Allegory の感想

　次の１３編を収録したショートショート集です。

　　「旅立ちの日」
　　「冷蔵庫マネジメント」
　　「iPadの使い方~先輩と後輩１~」
　　「イイトコロメガネ」
　　「ポイントカード」
　　「怠惰なSOHO~先輩と後輩２~」
　　「冒険者のたしなみ」
　　「当たり前のセイギのヒーロー」
　　「民主主義」
　　「ぶれない軸と刀鍛冶~先輩と後輩３~」
　　「ボードゲーム」
　　「斬新なアイデアと投石器~先輩と後輩４~」
　　「グラスとウィスキー」

　これらの中でズバ抜けているのが、最初の「旅立ちの日」です。
　いわゆる"勇者"が主人公です。
　……が、とんでもない時代設定で読者を仰天させた後、爆笑必至のオチが待っています。
　常識と先入観を逆手に取った発想の勝利でしょう。
　ミスリードがお見事です。

　次点は「イイトコロメガネ」です。
　こちらも読者には予測不能のオチに脱帽しました。
　途中までは先読みできたので、しめしめと思っていたら、最後の１行でギャフンとやられました。
　星新一氏のショートショートのような傑作です。

　その他、先輩と後輩シリーズも、２人のキャラがツボにはまっていて笑えます。

　「おわりに」によれば、どの作品も寓話として書かれたようですが、難しいことは抜きにして単純に楽しめるユニークなショートショート集です。

　蛇足ですが、脱字と誤字があります。

　　「冒険者のたしなみ」
　　　　うつつを抜かしていたりはしなさ。　→　うつつを抜かしていたりはしないさ。

　　「ぶれない軸と刀鍛冶~先輩と後輩３~」
　　　　そいつか変わるべき時に　→　そいつが変わるべき時に