愛を積むひと [DVD] の感想

原題「石を積む人の真珠」という海外の小説を日本版映画化したのだそうです。
都会での壮年期を終え北海道に移住してきた夫婦。
妻は心臓病を夫に隠し、夫は頑固で無愛想。
夫は妻の願いで家周囲の石垣づくりに取り組む。
地元の若者たちとのふれあいと、やがて夫婦を襲う悲しみ。

どちらかというと地味で静かな、おとなしい作品です。
が、北海道の美しい大地を背景に、ひととひととの暖かな関わりあいが自然に描かれ、人間の温もりが伝わってくるように感じました。
原題の「真珠」はねたばれ避けますが重要なアクセント。この映画にとっても「真珠」のような存在になってきます。
佐藤浩一さん心に残る演技です。妻の残した手紙をよむ姿にもらい泣きさせられてしまいました。
樋口可南子さんは、やはり都会から地方に転居した中年夫婦を描いた「阿弥陀堂だより」と同様の役柄で、はまり役でした。
普段自分たちがいきているこの小さな世界も、本当に大切なひとたちに囲まれているのだなと、そんなことを感じさせられました。

実は本作は出張帰りの飛行機でみたのです。かつて「阿弥陀堂だより」もたまたまそうでした。２作とも丁度帰国するときほっとさせてくれました。
「愛を積むひと」とは本作にぴったりのよい邦題と思います。地味ですが日本映画の良作です。星４つには値するとおもいます。