奈良原一高写真集 時空の鏡 の感想

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参照データ

タイトル奈良原一高写真集 時空の鏡
発売日販売日未定
製作者奈良原 一高
販売元新潮社
JANコード9784103575023
カテゴリ画家・写真家・建築家 » 写真家 » た・な行の写真家 » 奈良原一高

購入者の感想

僕はこの写真家が一番好きだ。奈良原一高の写真を見た後、僕の中で強固なものとしてあった『現実』と『時間』は急に頼りない幻のように霧散していく。例えばこの写真集にも収録されている代表作『消滅した時間』のなかにインディアンの部落の杭に固定され宙に浮いた格好の2つのゴミ箱の写真がある。低い位置から撮影されたその写真は画面の2/3を占める空が壮大な<空間>を感じさせ、その空に浮いた手前から奥に向かって消失点を描いている雲が凍りついた<時間>を感じさせる。奈良原が写真を語るとき重要なキーワードとしてでてくるのが「宇宙」だ。<宇宙>という漢字はもともと時間と空間を表す言葉である。 写真は撮れば撮るほどその画像のなかに撮影者の世界との接し方がダイレクトに顕れて来るメディアだといわれる。そのため写真家たちは自分の関わる写真というメディアとは一体なんなのだろうと写真と自分との関係に答えをださなければならない。奈良原の下の世代にはプロヴォーグ世代と呼ばれる写真家達がいる。森山大道や中平卓馬がそうだ。かれらは社会が政治の季節だったこともありなかなかその答えを出せず、またその答えを出し社会に投げかけても社会は表面だけを吸収しその本質は拒絶した。(そのため2人は内的にも外的にも写真を発表する力を減退し長い停滞期を過ごすことになる)たいして奈良原や東松照明のVIVO世代は写真の力を絶対的に信頼できる時代を過ごし写真と己との答えを見つけ出した、幸せな写真家達だと言える。そのVIVO世代でも奈良原一高は異彩を放っている。その視線はヨーロッパに住んでいるときもアメリカに住んでいるときも故郷であるはずの日本に住んでいるときもフッと外からきた異邦人のそれのようである。この本にはその奈良原の視線とそれを補完する言葉がつまっている。この本を見つめるとき読者は奈良原の<そのときあった視線>と同化しながらも突き放されまるで奈良原に凝視されているような視線を感じる。奈良原ワールドへようこそ・・・。

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