チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 の感想

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参照データ

タイトルチャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲
発売日2007-12-05
アーティストカーラー(イリヤ)
販売元エイベックス・クラシックス
JANコード4988064256730
Disc 1 :ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35 第1楽章 Allegro moderato-Moderato assai
ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35 第2楽章 Canzonetta:Andante
ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35 第3楽章 Finale:Allegro vivacissimo
メロディ (なつかしい土地の思い出 作品42 第3曲)
ワルツ・スケルツォ ハ長調 作品34
カテゴリミュージック » ジャンル別 » クラシック » 交響曲・管弦楽曲・協奏曲

購入者の感想

2004年12月にモスクワ、ロシア国営放送局『Kultura』の第5スタジオで録音。このCDはアマゾンのクラシック・アルバムの去年の売り上げランキングでは第7位だったらしい。何しろ驚くのは価格である。なんと500円である。イリヤ・カーラー(Ilya Kaler, 1963年)についてだが、パガニーニ国際コンクール(1981年)、シベリウス国際ヴァイオリン・コンクール(1985年)、チャイコフスキー国際コンクール(1986年)という世界的に重要な3つのコンクールにおいて第1位を受賞している。ぼくの知る中に彼ほどの輝かしい受賞歴を持っているヴァイオリニストはいない。当然このCDの演奏も素晴らしい。この曲の演奏で三指に入る名演だと思う。

それなのにこの価格である。まあ買う方としては安く手に入るのだから嬉しい訳だが、どうも釈然としないのだ。これだけの演奏家であるのにこんな売りだされ方をされていいのかホントに疑問である。やはりクラシックの世界も力のある事務所が支えないとこれだけの演奏家でもこういう処遇なのか、とか思ってしまうのだ。

確かにアルバム・ジャケットのデザインはECMの逆さまみたいに陳腐で最低だが、そういうアルバム・ジャケットの中に最高級の音楽が詰まっている。まるで安物のワインの瓶の中にダマシのように、名のあるワインが入れられているかのようだ。

多くの人に聴かれるのは良いことだ。では、価格とデザインは全く無視していいのか・・・・・はなはだ釈然としないのである。

チャイコフスキー協奏曲は、生の演奏会で聴くと深い感動を覚える名曲なのですが、何故かCDで聴くと高音が耳障りに感じることが多く、いわゆる「名盤」をCDで何枚か聴きましたが疲れて頓挫しました。一方、神尾さんの演奏は音が太くて暖かく、繰り返して聴くことができました。

インターネットで調べてみると、CDで聴くヴァイオリンの高音が苦手という方が意外と多いのに驚きました。その中には神尾さんの演奏が苦手という声もありますので、個人差が大きいかと思いますが、ともかく、20KHzでバサッと音を切るCDの規格が原因かもしれません。

神尾さんの演奏は、フレーズの立ち上がりやハイポジションへの移動を含め、細部での気配りが感じられ、角が立たない、「歌っている」演奏に近いという印象です。1727年製ストラディヴァリウスを険しい形相で弾いているはずなのに、何故か音が温かく感じられ不思議な気がしますが、実はそれこそが神尾さんの技術と才能の賜物かもしれません。個人的好みではありますが、心温まる素晴らしい演奏だと思います。

チャイコフスキーは難解な技巧は完璧、表現も非常に豊か。そして絶対的に洗練されている音色は本当に綺麗で、五嶋みどりさんにしか出せないものだと思います。まだかなり若いころのレコーディングだと思いますが、なぜここまで出来るのか、本当に素晴らしいの一言に尽きます。クラウディオ・アバドとベルリンフィルハーモニックの演奏もパワーがありテンポも良い。

あまり派手な演奏ではありませんが、音楽的に素晴らしいです。激しくダイレクトに表現するのではなく、聞くにつれてじわじわと良さが分かってくるような演奏です。もし生でコンサートホールで聞いていたのならもしかしたら一瞬で魅了されていたのかも知れません。しかし、CDから聞こえてくる音からはそういう印象です。なにはともあれ、しっかりと解釈を熟考した結果の、良い演奏だと思います。音色やフレーズのつくり方が綺麗でクリアな奏法ですが、さっぱりしているわけではなく、中身の詰まった引き締まった音といえば良いのでしょうか、とても聞いていて楽しいです。テンポは所どころタイトであったり、曲調によってリラックスしたりを自在にしており、なかなか最近の演奏では珍しいと思います。最近の演奏は速めでよりタイトなテンポが多いと思います。
ライヴ録音なのでソロバイオリンの音がオーケストラに比べ小さめに聞こえますが、自然といえば自然に聞こえます。

ショスタコーヴィッチは荒々しさ、率直さが少々欠けている感じはします。ダイレクトな表現を期待していると、2楽章、カデンツァ、フィナーレはそういう面では物足りなさがあるかも知れません。オーケストラも若干丁寧な感じがします。しかし中身の濃い内密的な演奏で、何度も聞いているとだんだんその精神的な域からエネルギーが伝わってきます。テンポはリラックスしてはいないですが、緊張感がありながら遅めです。ロシアのバイオリニストならもっと直感的な解釈で演奏している録音があると思います。ショスタコーヴィッチに演奏を委託されたオイストラフのもそうだと思います。しかし、このCDで五嶋みどりさんのバイオリンは、ショスタコーヴィッチの曲の美しい面を最大限に発揮していると思います。

バイオリンの魅力が分かる、そして音楽的な質も良いCDだと思います。

これは本当に価値のあるCDだと思います。

単にこのシリーズとしていい出来ということではなく
数あるこの曲の名盤と比較しても遜色がないというか自分の中では最高の演奏でした。
この曲のフィナーレで目頭が熱くなったのは初めてでした。

この演奏の特徴としては、あらゆる正反対の要素がバランス良く詰め込まれているという感じです。
緩急の付け方はもちろん光と影、理性と本能、繊細さと大胆さというような要素が必要な時に必要なだけ
表現され、この曲の持つ本当の可能性を引き出しているようです。

バイオリン奏者のイリア・カーラーと言う人は若いころ数々のコンクールを総なめにした人で
テクニックのレベルの高さはスゴイです。そして指揮者とオケもバイオリンと協調しながらも、しっかりと
自己主張をしています。個性的でありながらも、奇をてらった演奏ではなく安心して聴けます。
2004年のデジタル録音ということで録音も良いです。

とにかく全員がこの曲を深く愛し、自分たちにできることを全て出しつくそうという気持ちに溢れているように
感じました。これで500円は安くて申し訳ない気持ちになってしまいました。

この曲が好きな人だけでなく、すべてのクラシックファンにお勧めしたいCDです。

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