百歳の力 (集英社新書) の感想
参照データ
タイトル | 百歳の力 (集英社新書) |
発売日 | 2014-06-17 |
製作者 | 篠田 桃紅 |
販売元 | 集英社 |
JANコード | 9784087207439 |
カテゴリ | ジャンル別 » 人文・思想 » 倫理学・道徳 » 倫理学入門 |
購入者の感想
自身を「ちょっと類のない珍種」と評する桃紅さん。
分類がきかない、はみでた珍種です。
まあ悪くいえばできそこない。類のない、というのはたしかね。
たしかに私は、長く生きてきたに違いないんだけど
私みたいなふつうではない生き方をした人は、
結婚もしなかったし、ちょっとお手本にならないですよね。
長生きの参考にしようたって、特別に変だから。
それに、自叙伝っていうのは、自分がいい子になるに決まってる。
自分を悪く書く人はいないですよ。どうしても自分を弁護する。
人様になにかを伝えるほど、そんな素敵な女性ではありませんし
文学の材料になるほど、自分には芯もない。
でも、まがいものではないつもり。
描けなくなったら、終わる。
だから、まだですよ。
作品をつくりたいので生きています。
表紙の帯の言葉は
「成熟」なんて、退屈よ!
胸がスッとして、元気がわいてくる。
桃紅さんは生涯、道なきわが道を往く
堂々たる「百歳珍種」だ。
分類がきかない、はみでた珍種です。
まあ悪くいえばできそこない。類のない、というのはたしかね。
たしかに私は、長く生きてきたに違いないんだけど
私みたいなふつうではない生き方をした人は、
結婚もしなかったし、ちょっとお手本にならないですよね。
長生きの参考にしようたって、特別に変だから。
それに、自叙伝っていうのは、自分がいい子になるに決まってる。
自分を悪く書く人はいないですよ。どうしても自分を弁護する。
人様になにかを伝えるほど、そんな素敵な女性ではありませんし
文学の材料になるほど、自分には芯もない。
でも、まがいものではないつもり。
描けなくなったら、終わる。
だから、まだですよ。
作品をつくりたいので生きています。
表紙の帯の言葉は
「成熟」なんて、退屈よ!
胸がスッとして、元気がわいてくる。
桃紅さんは生涯、道なきわが道を往く
堂々たる「百歳珍種」だ。
あっという間日本読み終えてしまいました。読み終えて 楽しく暮らす事大事なんだなぁとつくづく思うこと然り。
「絵や音楽などは、誰だって上手に表現すれば感動してくれますよ。非常に国際的になりやすい。世界を相手にするには有利です。見てきれい、ああ素晴らしい、となれば、それでいいんですものね、まずは。それだから、独創性が求められる。非常にユニークで、似たようなものはないということが問われる」。
戦後GHQの管理下にあった日本で、水墨で描いた抽象画が外国人の評判を呼び、43歳で招待を受けて渡米して有名になり、一流の前衛美術家として100歳となった現在でも活動を続けている女性芸術家が、自らの半生と、時代と、芸術について語った本。
元々は書道家。女性が個性を発揮することが著しく制限されることが多かった戦前に、書道を教えることで食べていけそうだからと独立。戦争中には空襲や疎開で苦しい経験もしている。「時代というのは大きいですよ」という。当時は不治の病といわれた肺炎にもかかっている。所々老境を感じさせる発言はあるが、「ほんとうに、あのころの私は気が強かった」とあるように、若いころはずいぶん尖がっていた人だったのだなということは容易に想像できる。書にしても、型にはまっていないことが戦前の日本では批判の対象にされたそうだ。また、運がよかったということも何箇所かで振り返っている。アメリカで厚遇されたのは作品の芸術性が高く評価されたからで、水墨の抽象画というのが当時は非常に珍しかったということもあったようだ。
元々は7人兄弟の中でも体は弱い方で長生きなんかできないと思っていたというから、人生はわからない。アメリカでは様々な人々との交流から多くのことを学んだそうだ。富士山をはじめとした美や、墨で線を描くことについてもページを割いて説明している。
それにしても、「これで完全にもう私のやりたいことはみなやりました、なんてことは絶対にない。ありえない。宿命的なものです。次の作品への誘いが、いま、作っているときに沸くんですから」「百歳になっても、枯渇する、もうなにもできない、そういうことはないですね」などと言い切れる100歳は、なかなかカッコいいなと思った。
戦後GHQの管理下にあった日本で、水墨で描いた抽象画が外国人の評判を呼び、43歳で招待を受けて渡米して有名になり、一流の前衛美術家として100歳となった現在でも活動を続けている女性芸術家が、自らの半生と、時代と、芸術について語った本。
元々は書道家。女性が個性を発揮することが著しく制限されることが多かった戦前に、書道を教えることで食べていけそうだからと独立。戦争中には空襲や疎開で苦しい経験もしている。「時代というのは大きいですよ」という。当時は不治の病といわれた肺炎にもかかっている。所々老境を感じさせる発言はあるが、「ほんとうに、あのころの私は気が強かった」とあるように、若いころはずいぶん尖がっていた人だったのだなということは容易に想像できる。書にしても、型にはまっていないことが戦前の日本では批判の対象にされたそうだ。また、運がよかったということも何箇所かで振り返っている。アメリカで厚遇されたのは作品の芸術性が高く評価されたからで、水墨の抽象画というのが当時は非常に珍しかったということもあったようだ。
元々は7人兄弟の中でも体は弱い方で長生きなんかできないと思っていたというから、人生はわからない。アメリカでは様々な人々との交流から多くのことを学んだそうだ。富士山をはじめとした美や、墨で線を描くことについてもページを割いて説明している。
それにしても、「これで完全にもう私のやりたいことはみなやりました、なんてことは絶対にない。ありえない。宿命的なものです。次の作品への誘いが、いま、作っているときに沸くんですから」「百歳になっても、枯渇する、もうなにもできない、そういうことはないですね」などと言い切れる100歳は、なかなかカッコいいなと思った。
著者は、戦後すぐに渡米し、墨を使った抽象画によって世界的名声を得た。
卓越した芸術家にしてきわめて個性的な女性である。
100歳を越えた現在(2014年7月)においても画家としての活動を続けている。
著者はまた、すぐれた随筆家としても知られている。なにしろ、あの「千夜千冊」の中に著者の本『私というひとり』が選ばれているのだ。
ということで、本書に関する期待は大きかったが、軽い失望を味わった。
まず、形式だが、これは著者が新たに書いたというよりも、著者が話したことが文字にされたという感じだ。
また、本書の大部分を占める回想は、『私というひとり』や昨年刊行された『桃紅百年』とかなり重複する。
新しいのは、百歳になった境地を語った冒頭と末尾ぐらいだ。
そもそも『百歳の力』という題からしていただけない。
人のやらないことをやり、自らの道を切り開いてきた著者に、「・・・の力」という安易なタイトルはそぐわない。
おそらく編集者が営業上の理由で付けたのだろう。
このような問題はあるが、廉価だし、文章が平易なので、著者に関心を持つ人が初めて読む本としては薦めることができる。
卓越した芸術家にしてきわめて個性的な女性である。
100歳を越えた現在(2014年7月)においても画家としての活動を続けている。
著者はまた、すぐれた随筆家としても知られている。なにしろ、あの「千夜千冊」の中に著者の本『私というひとり』が選ばれているのだ。
ということで、本書に関する期待は大きかったが、軽い失望を味わった。
まず、形式だが、これは著者が新たに書いたというよりも、著者が話したことが文字にされたという感じだ。
また、本書の大部分を占める回想は、『私というひとり』や昨年刊行された『桃紅百年』とかなり重複する。
新しいのは、百歳になった境地を語った冒頭と末尾ぐらいだ。
そもそも『百歳の力』という題からしていただけない。
人のやらないことをやり、自らの道を切り開いてきた著者に、「・・・の力」という安易なタイトルはそぐわない。
おそらく編集者が営業上の理由で付けたのだろう。
このような問題はあるが、廉価だし、文章が平易なので、著者に関心を持つ人が初めて読む本としては薦めることができる。