女はいつからやさしくなくなったか: 江戸の女性史 (平凡社新書) の感想

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参照データ

タイトル女はいつからやさしくなくなったか: 江戸の女性史 (平凡社新書)
発売日販売日未定
製作者中野 節子
販売元平凡社
JANコード9784582857429
カテゴリジャンル別 » 人文・思想 » 女性学 » 女性問題

購入者の感想

本書のタイトルは、『女はいつからやさしくなくなったのか』とあって、歴史的に“優しい”女性像が、そうではなくなった歴史的経緯を考察するような印象がある。しかし本書における女性の“優しい”という本質は、現代的な意義とは微妙に異なるものを内包している。即ち本書に言う『やさしい』とは多義的であり、基本的に「優」と「艷」、そして「情深さ」を包合するものである(51〜70頁)。右の「艷」につき、著者は江戸期の「遊 女」などに観られる「好 色」と本質において通底するものであるが、当時の「好 色」とは単なる「エ ロ」(ティシズム)ではなくて、「情 事を楽しみ、恋愛の情趣をよく理解し、風流や風雅に理解がある心」(69頁)であり、現代のような消極的(交情を好むような)意味合いはなく、「褒め言葉」のひとつであり「情深い」情愛を含むものであるという。かかる「やさしさ」の象徴が「遊 女」であり、これに対する存在(概念)が「地女」である。即ち「地女」とはより世俗的な存在であり、「せわしい」、庶民的で、家の存続に尽くし、儒教的観念(貞 節)の妻女を言う(195〜224頁)。つまり「地女」は、「優」と「艷」に象徴される「遊 女」とは対極にある存在である。かかる点で「地女」は『やさしくない』のであり、本書は江戸初期の「やさしい」本質の女性像が、江戸中期以降に変貌し「地女」が主流となる変遷と歴史的背景を、種々の史料から紐解くものである。

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平凡社から発売された中野 節子の女はいつからやさしくなくなったか: 江戸の女性史 (平凡社新書)(JAN:9784582857429)の感想と評価
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