森林異変-日本の林業に未来はあるか (平凡社新書) の感想

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参照データ

タイトル森林異変-日本の林業に未来はあるか (平凡社新書)
発売日販売日未定
製作者田中 淳夫
販売元平凡社
JANコード9784582855838
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購入者の感想

「森林や林業の恩恵をより多く受けているのは街の人である。」と書く著者に共感する。「街が林業を作った/森が街に行くことが林業だった」とは至言である。

資本主義経済は生産と消費とを分離し、その間をつなぐ流通と、それぞれの分業の確立によって成長・発展してきたが、今日の状況では、その分離の行き過ぎが社会の全体性を損ない、分解・崩壊の危機を招いている。例えば鬼頭秀一の提唱する「社会的リンク論」(ちくま新書『自然保護を問いなおす』などを参照)などは、そうして分断された全体性を回復することによって、現在の我々の危機的状況を乗り越えようとするものと理解しているが、それにはまず著者の言うように、「街は森に対していかなる責任を負うのか」を意識することが必要だし、木材の生産・流通だけでなく建築や森林生態系・地域景観までを一体に考える、「大林業」の発想が求められるだろう。

それにしても、これまでにも何冊か、森林関係の本は読み、2000年代前半までの日本の森や林業の状況もある程度は理解しているつもりでいたのだが、その後のわずか数年で、国産木材の価格が外材以下になり、木材自給率も上昇するなど、ここまで劇的な変化が起きていたとは驚いた。

その変化は現時点では残念ながら、日本の森や山村を守る方向に向かってはいないようだが、しかしわずか数年でこれほどの変化が起きるのであれば、あるいはこの後の数年でまた、劇的に良い環境変化も起こし得るのではないか?という気もしてくる。要は、日本の森に対しては、これまで、それほどまでに何も行われてこなかったのだろう。

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