世界の辺境とハードボイルド室町時代 の感想

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参照データ

タイトル世界の辺境とハードボイルド室町時代
発売日販売日未定
製作者高野 秀行
販売元集英社インターナショナル
JANコード9784797673036
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 評論・文学研究 » 論文集・講演集・対談集

購入者の感想

対談本は内容が薄いしすぐ辞めてしまうのであんまり好きではありませんでした。しかし、以前読んだ清水克行氏の『戦国大名と分国法』(岩波新書)がお話しているので、「まあ少しくらい」という気持ちで買いました。お相手の高野秀行さんという方は僕はこの本を読むまでは知らなかったのですが、読み進めていくとものすごい人だと分かります。
びっくりしたのが、お二方の知識量です。高野氏は、海外の辺境へ実態を調査しに行き、本を書く人なのですが、ものすごい読書家だということが伝わってきます。また、清水氏も様々な経験をしていて、もちろん中世に関する知識は専門であり、それを面白く述べてくれます。お互いの質問も高度なもので、読んでいくたびに新しい知識に出会い興奮します。
それだけでなく、固有名詞には脚注が必ず記されているので読者を絶対に置いていきません。
この本を読んで僕も東南アジアやアフリカの地域に旅行したいと思いました。さらにこのお二方と同じ景色を見るためにもっともっと本を読もうと思いました。最高の対談です。

本書は、秘境ルポをメインとしたノンフィクション作家と、日本中世史をメインに活躍をテレビにまで広げる研究者の、対談を仕立てた本。
室町時代中期の無茶苦茶な出来事に興味を持つ私は、このタイトルで購入したのだが、著者二人の異種格闘技をマッチングしたのが、柳下毅一郎と分かった時点で、自分の選球眼に狂いなしとうれしくなった。

本書は、とても変わった本だと思う。多くの人には縁遠い(日本人にとっての)秘境の人々の思考や暮らし方と、多くの者にとって知る由もない中世の日本人の生き方に、共通項を見出して、秘境また過去の、私達とは全く違う存在に理解を示していく内容は、個人的には興味深く好奇心をそそられて止まないが、その前提として中世やイスラームへの基礎教養は必要なので、万人受けする内容ではないだろう。
しかし、一方で二人のトークは自由闊達で、後半では互いの前半生や現代日本談義がメイントピックスになっている。もはや、タイトルと関係ないじゃんということなかれ、こうした周縁部分を含めて、この本で二人が伝えたいことは成り立っているのだから。そして、二人の前半生や現代日本への認識が実に面白いので、本書前半の知識教養の乱れ打ちがしんどいかたは、5章・6章から読むのもよいかもしれない。

本書の魅力を二つ挙げるなら、まずは著者二人の博覧強記である。一方がイスラームでのコーヒーでのバッドトリップをいえば、他方は日本でのタバコ中毒死をあげ、そして、なぜ日本では大麻吸引が起きなかったのか、そしてもしかしたら幕府が大麻禁止に難儀したのではと、想像をたくましくしていくところが醍醐味。一歩間違えれば、歴史好きあるいは旅好きの素人の妄想談義なのだが、二人の知性と知識は決して対談のレベルを下げずに、話を展開させていく。
もう一つは、知らないことを知ろうとする探求心だろう。なんでも簡単に分かる時代だが、分かれることは実は浅く広いだけ。二人の著者は、決して分かりきることはないソマリ人あるいは室町武士について、知り尽くしたい一心で、異種格闘技を繰り広げる。この知的探求心の果てなきプロレスこそが、本書の面白さの原動力だろう。

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集英社インターナショナルから発売された高野 秀行の世界の辺境とハードボイルド室町時代(JAN:9784797673036)の感想と評価
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