家族の哲学 の感想

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参照データ

タイトル家族の哲学
発売日販売日未定
製作者坂口 恭平
販売元毎日新聞出版
JANコード9784620323220
カテゴリ文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学 » さ行の著者

購入者の感想

著者は、神経の病気(周期的に鬱状態に襲われ、その時は、無性に死にたくなる。)を抱えているが、このお陰で、尋常ならざる思考が進み、多数の面白い著書が生まれている。坂口恭平氏は、間違いなく、天才である。

「家族」との関係で言うならば、自殺願望を抱えた著者を支えているのが、奥さん、二児の母でもある。

タイトルにほぼ実話と書いた。停止スイッチを持たないがために、通常人と比べ、100倍、1000倍、脳を酷使(脳が超フル回転)するという宿命を持った著者坂口恭平にとっての現実を綴ったという意味での「実話」である。従って、脳味噌を使わない通常人が読むと、妄想と取れる箇所がないとは言えない。

恭平家は妻・娘・息子の4人家族。恭平は時々絶望に落ち、死にたくなる。
本書では初っ端から絶望段階。子どもたちに自分の不甲斐ない姿を見せたくないと、恥じて悩むが、もとよりコントロール不能。そのような家族とのぶつかり合いを詳細に観察した記録(?)。

本書で面白いのは、絶望から新生した新型恭平号が恭平の面前に現れて演説する所(ドッペルゲンガー)。
書名の「家族の哲学」の内容はここに含まれているようだが難解。恭平号は聞き流してくれという。

そこで評者は提案したい―13ページ分あるこの演説を、意味が取れないようにできるだけ速く音読する。
そうすると、コンニャクを食べ流すと、栄養は取れないが身体が喜ぶように、
この読み流しも身体が喜ぶのでは(栄養はもしかしたら取れるかも)。

ここに読み流したい言葉がある。「この世界は可能性で満ちている。そこに意味など求めないかぎりは。(p.221)」まるでブッダのようだけれど、評者の体験で考えてみた。

今から5年前に占い師が現れ「あなたは5年後に毎日2000メートル泳いでますよ」と予言したら、スポーツ嫌いの評者は「ありえない、可能性ゼロ」と無視したはず。ところが可能性は100パーセントだった。まったく意味がわからんですね。

でも、先の恭平号の言葉を運動方程式に書き直してみると、少しわかるかも知れない。

「そこに意味など求めないなら、この世界は可能性(=私)で満ちてくる」と。(評者)

泳ぎの例で言うと、プール=私、水=私、空気=私…となる。普通は、収奪すべきもの、克服すべきもの、敵対するもの…が私に変わるなら、「可能性で満ち」るのはアタリマエかも知れない。

論旨ずれたらすみません>恭平号

話は現在を中心としつつも、独り言、日限地蔵、ホワイトボード、おじいちゃん、救急車…などのことばから過去へ深く、深く降りていく。そこで描かれることから、夫婦の意外な縁も見えてくる。

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