中森明菜 プレミアム BOX ルーカス ~NHK紅白歌合戦 & レッツゴーヤング etc. [DVD] の感想

昨年の紅白での明菜さんには心うたれました。　彼女は「ロホ・ティエラ」を歌う前、極限の緊張状態のなかで「皆さんに、少しでも暖かさが届けばいいなと思います。」と言いました。
アメリカの詩人の言葉で「寒さに震えた者ほど、太陽の暖かさを感じる。人生の……（略）」という言葉があります。　明菜さんはおそらく、幾度も心が寒さに震えて、だからこそ長い間、暖かさをファンに届けて「喜ばせて、励ましたい」と歌い演じてきたのだと思います。　たとえ彼女自身が厳しい寒さにうち震えている時にでも・・・です。
本作はそんな「心の優しい」明菜さんのNHK出演の軌跡（ルーカス）をたどった作品です。
　
「同じ曲」を幾度唄っていても、その都度明菜さんの唄い方、振りつけ、しぐさ、表情が微妙に違いそのどれもがとても魅力的です。彼女の多彩な表現力にはただ感心するばかりです。
紅白での明菜さん、どの曲も気合い充分で迫力があります。　その中でも「難破船」は凄まじい感情移入をしていて怖いくらいです。
心で激しくむせび泣きながらこの数分にすべてをかけて燃え尽きようとしてるかのようで、観ていて胸が張り裂けそうになりました。
明菜さん、全編にわたって言葉にならないくらい美しいです。彼女の人間的な良さーー「他の人を思いやる優しさ」、「歌にたいするひたむきな心」、「その時々でなんとかしようという、切ないくらいの一生懸命さ」が溢れるように表面に湧き出てきてめまいがするほどです。　特にDISC３（83年~96年）では曲が終わっても彼女の「美の余韻」に浸りに浸りきってーーつまりはポーとなり目線が、宙をさまよい「unfixable」（固定できない）状態となり、次の曲になかなか進めず大変でした。
DISC4のコラボでは谷村新司さんのおとこ気を感じて爽やかな気持ちになりました。（河合奈保子さんはチョイ役でした。）　また、バラエティでは井上順さん、加藤茶さんの明菜さんに対しての暖かい心づかいがよく表れていてとてもほのぼのした雰囲気で気持ちよく笑わせてもらいました。　コントに一生懸命取り組む明菜さんとてもいじらしいです。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　最後の締めはSONGS「歌姫復活」です。