逆説の軍事論 の感想

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参照データ

タイトル逆説の軍事論
発売日販売日未定
製作者冨澤暉
販売元バジリコ
JANコード9784862382191
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 政治 » 国際政治情勢

購入者の感想

軍事の議論というと、とかく「軍隊をなくすのがよい」という机上の平和論と、逆に「軍隊を強くして周りの国になどなめられないようにしろ」という右翼的な強国論のどちらかが、論調の威勢の良さも相まってネットや一般書では大手を振るっていたりする。
しかし、実際はそのどちらの極論もむしろ日本を危うくするものであり、まじめに日本と世界の平和を考えるのであれば、そういった極論は排してきちんと国際社会のあり方を見て、自衛隊はどういう役割を果たすべきなのか考えねばならない。
本書は、元陸自幕僚長によって書かれた、平和構築のために必要な軍事の在り方の基本書である。

本書で強調されているのは、現在の国際体制がどうなっているのか、その中で軍隊の役割はいかなるものになっているのか、という点である。
第二次大戦頃までの国際社会は、各国が覇権争いを繰り広げ、自国の安全は自国の力のみで獲得され、同盟は情勢変化によってすぐに裏切られるような、そういった状況であった。
しかし、現在においては、かつては二極、今はアメリカ一極の力構造と国連体制により、各国が共同して世界平和を維持しようとする集団的安全保障体制が主流となっている。
それに合わせて、軍隊の位置づけもかつての「外交の失敗を取り戻すべく戦争をする存在」から「外交の背景に位置し、予防によって戦争を回避するための存在」へと変化している。
そのため筆者は、軍隊をただちに好戦性や戦闘と結びつける論調を批判し、また国際社会の平和構築を考えるならば、集団的安全保障体制に自衛隊も協力していくべきであり、それこそが最も日本の平和にも寄与するとしている。
同時に返す刀で、核武装論や「とにかく中国や北朝鮮を叩き潰すべきだ」といった威勢のいい論もまた、現在の国際状況を無視した暴論として切って捨てている。

また、現場にいた人間の著作ということもあり、個々の軍事の方法等についての議論も詳しい。
例えば、ミサイル防衛構想は自衛ではなく太平洋域の集団安全保障と見るべきであること、戦車が対テロ・ゲリラ戦の歩兵支援として非常に有効であることなどが論じられている。

謹んで拝読させていただきました。と、言いたくなるぐらいとても良い本です。
まずその読み易さ!一気に読めるし、すぅーと頭に入っていきます。

戦争と軍事の歴史から入り、日本を取り巻く世界各国の移ろいへと続き、
現在の日本のポジションがピシっと見えてきます。
それと「日本に暮らす人の安全と平和」に必要なものも。

ちょうどこのレビュー書いてるころ、国会では関連問題が騒がれていますが
「日本の安全と平和」を主眼に置いた論議なのか疑問になります。

先の大戦が強烈な敗戦だったためか「軍」と聞くとアレルギー反応を示す方もいらっしゃいますが、
一国平和主義を決め込んでいれば「安全と平和」が確保される世の中ではなくなりました。
文中の「世界の平和」が「日本の平和」を築くには納得です。

戦後70年に合わせての発刊かは定かでありませんが、次の戦後80年には戦争体験者はほとんどいなくなり
若者の政治離れや無関心もあいまって、戦争に対する「無知な者」がどんどん増えていきそうです。
著者も書いていますが「最も危険なのは無知であること」。その通りだと思います。

この本は、帯にもあるように右でも左でもなく坦々と事実を教えてくれます。
「無知な人」を増やさないためにも、できるだけ多くの人、
とりわけ社会科の先生を通じて全国の学生たちにも読んでほしい。
という読後感を持ちました。

すみません、まとまりのないレビューで<(_ _)>

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