鈴木さんにも分かるネットの未来 (岩波新書) の感想

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タイトル鈴木さんにも分かるネットの未来 (岩波新書)
発売日販売日未定
製作者川上 量生
販売元岩波書店
JANコード9784004315513
カテゴリジャンル別 » ビジネス・経済 » IT » 情報社会

購入者の感想

株式会社ドワンゴの創業者でありながら、スタジオジブリの見習社員になるという、意表をつく活動をしてきた川上量生(のぶお)。師事するジブリの鈴木敏夫プロデューサーから「ネットとはなにか、僕にも分かるように書いてくれ」と注文されて書いた本。
川上は「インターネットとはなにか」ということを理解するためには、「ネットを利用している人には二種類の人種がいることを知るべき」という。ネットをツールとして利用する人と、ネットに住んでいる人の二種類。
リアルな現実世界ではなく、バーチャルなネットの中に自分の居場所があると思っている人=ネット原住民。川上は、自分のことを、その「ネット原住民」だと規定する。
いしいひさいちのマンガに、地球の地下には実は地底人が住んでおり、彼らは日夜地球人を打倒したと宣言している。地底人のさらに下には最低人が住んでおり、彼らもまた地底人に対する一方的な勝利宣言をしている、というのがあった。
ネット原住民は、自分たちこそ人類の未来を先取りした新しい大陸の発見者であると自負しており、新大陸の存在すら知らない「旧大陸の地球人」に対して、日夜勝利の雄叫びをあげている。自分は情報強者=賢者であり、世間の奴らは情報弱者=馬鹿である、という優越感に満たされている。最低人とそっくり。
残念なことに、彼らの優越感がくつがえされる時がきてしまった。旧大陸の住民たち、とくにサラリーマンの大群がネット社会にずかずかと上がり込んできた。始末が悪いのは、かれら新しくネット新大陸に移住してきた人間たちのほうが、原住民より旧大陸での「身分」が上だということ。このくだりで、声をあげて笑ってしまいました。
地底人(ネット原住民)たちは「ネット原理主義者」として、人類の未来を照らすようなことを語ったり、現実のビジネスにもこのように生かせる無限の可能性がありますよと語ったりする。そのときに、できるだけ「旧大陸の人間」に分かりにくく語る、神秘性を持たせて語るという流儀があるのだという。「分かりにくく語るほどありがたみが増し、儲かる」という図式。
ネット原住民を自称し、同時にリアル世界の企業家としても成功する。双方の世界に対する愛がありユーモアがある。ネットの未来について分かったような気持ちにさせてくれる名著です。

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