アイヌ学入門 (講談社現代新書) の感想
参照データ
タイトル | アイヌ学入門 (講談社現代新書) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 瀬川 拓郎 |
販売元 | 講談社 |
JANコード | 9784062883047 |
カテゴリ | ジャンル別 » 人文・思想 » 文化人類学・民俗学 » アイヌ |
購入者の感想
地味なタイトルと表紙だが、中身は予想以上に面白かった。アイヌの歴史と文化を多角的視点から解説した本。著者は、旭川市博物館館長を務めるアイヌ研究家。
アイヌは縄文人の特徴を色濃くとどめている。海の民として、和人やオホーツク人や大陸沿海州の靺鞨(まつかつ)や渤海などと交易を行いながら、自然と共生して独自の文化を形成した。アイヌ語は日本語をはじめとする周辺地域のどの言語とも親戚関係が見られない孤立した言語である。アイヌは遺伝的には縄文人に和人やオホーツク人に特徴的な遺伝子が加わったグループ(ハプログループ)が見られる。実際、4~9世紀の北海道は海岸線2km圏内にしか集落を持たないオホーツク人も大きな勢力として存在していた。砂金などを求めて和人も時々進出していた。ちなみに、7~12世紀は「擦文時代」と呼ばれ、それが連続的にアイヌ文化と呼ばれるものになった。
4~6世紀にアイヌは東北地方に進出する。今の仙台あたりまで南下しており、このため東北にはアイヌ語由来の地名が今も残る。古墳時代におけるアイヌと和人の交流は、東北のマタギの伝統に名残が見られる。アイヌは毛皮などを和人と交易することで鉄器を手に入れた。10世紀以降には高級矢羽の材料として珍重されたオオワシの尾羽を日本へ輸出。13世紀にはサハリンへの進出を拡大し、現地先住民ニヴフと係争をおこす。この結果、介入してきた元と半世紀近くも戦いを繰り広げる。最終的に元と和睦したアイヌは、その後に成立した明とも交易を行う。15世紀には千島列島にも広く進出する。17世紀には砂金や銀も多く持っていて和人から米や綿布を買っているというイギリス人の記録もある。また、北海道では平安時代~室町時代の日本の甲冑がいくつも発掘されているし、中国の甲冑も出土している。
アイヌは縄文人の特徴を色濃くとどめている。海の民として、和人やオホーツク人や大陸沿海州の靺鞨(まつかつ)や渤海などと交易を行いながら、自然と共生して独自の文化を形成した。アイヌ語は日本語をはじめとする周辺地域のどの言語とも親戚関係が見られない孤立した言語である。アイヌは遺伝的には縄文人に和人やオホーツク人に特徴的な遺伝子が加わったグループ(ハプログループ)が見られる。実際、4~9世紀の北海道は海岸線2km圏内にしか集落を持たないオホーツク人も大きな勢力として存在していた。砂金などを求めて和人も時々進出していた。ちなみに、7~12世紀は「擦文時代」と呼ばれ、それが連続的にアイヌ文化と呼ばれるものになった。
4~6世紀にアイヌは東北地方に進出する。今の仙台あたりまで南下しており、このため東北にはアイヌ語由来の地名が今も残る。古墳時代におけるアイヌと和人の交流は、東北のマタギの伝統に名残が見られる。アイヌは毛皮などを和人と交易することで鉄器を手に入れた。10世紀以降には高級矢羽の材料として珍重されたオオワシの尾羽を日本へ輸出。13世紀にはサハリンへの進出を拡大し、現地先住民ニヴフと係争をおこす。この結果、介入してきた元と半世紀近くも戦いを繰り広げる。最終的に元と和睦したアイヌは、その後に成立した明とも交易を行う。15世紀には千島列島にも広く進出する。17世紀には砂金や銀も多く持っていて和人から米や綿布を買っているというイギリス人の記録もある。また、北海道では平安時代~室町時代の日本の甲冑がいくつも発掘されているし、中国の甲冑も出土している。