光 (集英社文庫) の感想
参照データ
タイトル | 光 (集英社文庫) |
発売日 | 2013-10-18 |
製作者 | 三浦 しをん |
販売元 | 集英社 |
JANコード | 9784087451214 |
カテゴリ | 文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学 » ま行の著者 |
購入者の感想
静かに閉ざされた島。
信之は、島で一番美しい美花とからだを重ねることに夢中な14歳。
そんなふたりについてまわる、父親に殴られている可愛そうな輔。
ある夜、3人が家を抜け出して高台にいたとき、津波が島を飲み込み、
家族も家もすべてが消えた。
生き残りとなった3人は、ある重苦しい秘密を抱えたまま島を離れる。
それから20年後、それぞれ別の場所で生きていたはずの
彼らの運命の歯車が軋み、そして再び近づいて…
三浦しをんの最新刊は、暴力とか性欲とか、今までの作品の中で
あまり描かれてこなかったむき出しのエネルギーみたいなものが
ギラギラした登場人物たちが出てくる。「私が語り始めた彼は」に
出てきた性愛の世界が水墨画なら、今回は分厚い油絵。
そんな人たちが生々しく暮らす様子を描いた島の描写と、
島が消えたあとの大人になった彼らの、都会で息を潜めて
自分を殺すように生きている様子の落差に戸惑いつつも、
その20年の間に彼らはどうやって生きてきたのか、と
思いを馳せつつどんどん読み進んでしまう。
別に、過激に実験的に作品を発表している意識はおそらく著者には
無いと思うんだけど、毎回、違う雰囲気、違う文体、違う温度…
初めて読む作家の作品を読むような違和感と驚きと、そして喜び。
やっぱり凄い作家だな、と思う。作品を新たに発表するたびに
新境地を開いているというか。
たしかな文章力と表現力を持って、次々と新しい世界への
扉を開ける稀有な作家。
信之は、島で一番美しい美花とからだを重ねることに夢中な14歳。
そんなふたりについてまわる、父親に殴られている可愛そうな輔。
ある夜、3人が家を抜け出して高台にいたとき、津波が島を飲み込み、
家族も家もすべてが消えた。
生き残りとなった3人は、ある重苦しい秘密を抱えたまま島を離れる。
それから20年後、それぞれ別の場所で生きていたはずの
彼らの運命の歯車が軋み、そして再び近づいて…
三浦しをんの最新刊は、暴力とか性欲とか、今までの作品の中で
あまり描かれてこなかったむき出しのエネルギーみたいなものが
ギラギラした登場人物たちが出てくる。「私が語り始めた彼は」に
出てきた性愛の世界が水墨画なら、今回は分厚い油絵。
そんな人たちが生々しく暮らす様子を描いた島の描写と、
島が消えたあとの大人になった彼らの、都会で息を潜めて
自分を殺すように生きている様子の落差に戸惑いつつも、
その20年の間に彼らはどうやって生きてきたのか、と
思いを馳せつつどんどん読み進んでしまう。
別に、過激に実験的に作品を発表している意識はおそらく著者には
無いと思うんだけど、毎回、違う雰囲気、違う文体、違う温度…
初めて読む作家の作品を読むような違和感と驚きと、そして喜び。
やっぱり凄い作家だな、と思う。作品を新たに発表するたびに
新境地を開いているというか。
たしかな文章力と表現力を持って、次々と新しい世界への
扉を開ける稀有な作家。