ラインマーカーズ―The Best of Homura Hiroshi の感想
参照データ
タイトル | ラインマーカーズ―The Best of Homura Hiroshi |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 穂村 弘 |
販売元 | 小学館 |
JANコード | 9784093874496 |
カテゴリ | ジャンル別 » 文学・評論 » 詩歌 » 歌集 |
購入者の感想
好きな言葉を、好きなように蛍光ペンでマークできていたのは、もういつのことになるだろうか。
本来なら自由に、その色が、赤が、青が、黄色が、緑が、そして彩られた言葉たちが光るのを楽しんで然るべきなのに、現在の私たちは、来週のテストの試験範囲や、旅行の日程や、役立つ就職情報や、重要な経済用語などといったつまらないものに、その用途を限定している。
果たしてこれでいいのだろうか?
穂村弘は、誰もが忘れ去っていた幼少時の素直な高揚を、鮮明に描き出す。デビュー歌集『シンジケート』の代表的な歌に、既にそれは顕われている。
子供よりシンジケートをつくろうよ「壁に向かって手をあげなさい」
秘密基地、犯罪組織といった言葉が持つ、不思議な幼児性。著者はこのように、普段見落としがちな言葉の魅力を、ラインマーカーでチェックしていく。
また、この本はあくまで「Best of Homura Hiroshi」なので、それだけではなく、多様な一面を見せてくれる。
ウェディングドレス屋のショーウィンドウにヘレン・ケラーの無数の指紋
のように「三十一文字の小説家」としての技量を示したり、著者への手紙という形の「手紙魔まみ」では、
完璧な心の平和、ドライアイスに指をつけても平気だったよ
のように無邪気な愛の全能感、そして痛みを描いたりと、他にも紹介しきれないが、微笑ましいものから怖いものまで幅広く収められている。
短歌に興味はあるけど、ちょっと取っ付き辛いなあ……という人にこそお薦めという意味で、まさにベスト盤だと思う。
本来なら自由に、その色が、赤が、青が、黄色が、緑が、そして彩られた言葉たちが光るのを楽しんで然るべきなのに、現在の私たちは、来週のテストの試験範囲や、旅行の日程や、役立つ就職情報や、重要な経済用語などといったつまらないものに、その用途を限定している。
果たしてこれでいいのだろうか?
穂村弘は、誰もが忘れ去っていた幼少時の素直な高揚を、鮮明に描き出す。デビュー歌集『シンジケート』の代表的な歌に、既にそれは顕われている。
子供よりシンジケートをつくろうよ「壁に向かって手をあげなさい」
秘密基地、犯罪組織といった言葉が持つ、不思議な幼児性。著者はこのように、普段見落としがちな言葉の魅力を、ラインマーカーでチェックしていく。
また、この本はあくまで「Best of Homura Hiroshi」なので、それだけではなく、多様な一面を見せてくれる。
ウェディングドレス屋のショーウィンドウにヘレン・ケラーの無数の指紋
のように「三十一文字の小説家」としての技量を示したり、著者への手紙という形の「手紙魔まみ」では、
完璧な心の平和、ドライアイスに指をつけても平気だったよ
のように無邪気な愛の全能感、そして痛みを描いたりと、他にも紹介しきれないが、微笑ましいものから怖いものまで幅広く収められている。
短歌に興味はあるけど、ちょっと取っ付き辛いなあ……という人にこそお薦めという意味で、まさにベスト盤だと思う。