ハービー・ハンコック自伝 新しいジャズの可能性を追う旅 の感想

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参照データ

タイトルハービー・ハンコック自伝 新しいジャズの可能性を追う旅
発売日販売日未定
製作者ハービー・ハンコック
販売元DU BOOKS
JANコード9784907583330
カテゴリジャンル別 » エンターテイメント » 音楽 » ジャズ

購入者の感想

ハービー・ハンコックほど20世紀のブラック・ミュージックの歴史を深く体現してきた人物はいないのではないか。モダン・ジャズ、ファンク、R&Bからヒップホップ、果ては映画音楽をも含む彼のあらゆるジャンルにわたる偉大な業績は言うまでもないが、その音楽的核心はやはり60年代のマイルス・デイヴィスとの濃密な活動期間の中にある。

自分は主にマイルス・クインテット在籍時のエピソードが読みたくて購入したが、それ以外の部分も十分すぎるほど興味深く刺激的な描写の連続であった。特に彼をニューヨークに連れてきて公私にわたり有益な助言を与え、マイルスの元へと送り出したドナルド・バードの男前さに痺れた。同時に、他人を決して貶めるような書き方をしないハービーの高潔な筆致にも感銘を受ける。

マイルスとの関係についても、既によく知られたものも含めて、改めてハービー自身の口からリアルに語られるエピソードの数々は、ジャズファンにとっては宝石に等しい贈り物である。マイルスからの独立や以後の度々の路線転換についても、何の美化も歪曲もないありのままの経緯が綴られているのだろうと思う。晩年のマイルスとの交流についても過不足なく語られている。このあたりはマイルスの自伝と対照してみると興味深い。

仏教(題目)信仰への目覚めや、本書で初めて明らかにしたドラッグ中毒との戦いなど、あらゆる面で率直な記述からハービー・ハンコックという人間の誠実さが滲み出ており、本質的に真面目な人だということがよく分かる。そのため、特に後半部は幾分教科書的な堅苦しさがあってマイルスの自伝のような破天荒な面白さに欠けるのも事実。

しかしなんといっても、ハービー・ハンコックほどの巨人がここまで詳細な自伝を著してくれたことの意義は大きい。
ジャズについて興味のある人はもちろん、音楽愛好家なら読まないという選択肢はあり得ない、価値のある一冊だ。

最後に、川嶋文丸氏による迅速かつ適切な翻訳と、近年ジャズ関係の良書を次々に出版し続けているDU BOOKSの仕事に感謝の意を表したい。

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