現代議会主義の精神史的状況 他一篇 (岩波文庫) の感想

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参照データ

タイトル現代議会主義の精神史的状況 他一篇 (岩波文庫)
発売日販売日未定
製作者カール・シュミット
販売元岩波書店
JANコード9784003403013
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 法律 » 法学

購入者の感想

シュミットはナチス法律家連盟の中心人物であり、
最後にはナチスから身を引いたとはいえ、
ハイデガー同様、非常に危険度が高い学者です。

しかし近年では、ジョルジョ・アガンベンの「例外状態」論に取り上げられたり、
ナチスの宿敵であるフランスでもシュミットへの言及が見られたり、
シュミットの再評価が進んでいるようにも見えます。

シュミットを読むことは危険なのか、
それとも著者のナチス関与を割り引いても、読む価値のあるテクストなのか。

翻訳者の樋口陽一はその点にジレンマを抱えているようです。
「訳者解説」で樋口は、シュミットを読むならその否定的側面を含んだ「すべて」を知るべきだと言います。
それは正論だと思いますが、なかなかそうはいかないのではないかと思います。
なぜなら、否定的側面を批判するためにその学説を学ぶ人は、時とともに減少するからです。
歴史から切り離されてしまった学説を学ぶとしたら、
その動機は今も色褪せない魅力的な部分になるのではないでしょうか。

では、シュミットのどこに魅力があるのでしょう。

シュミットは民主主義の論拠が国家と国民の同一性にあるとします。
同一性の承認だけが問題ならば、独裁でも同じ結果は得られるので、
独裁は民主主義の対立物ではない、と彼は主張しています。

このような主張には自らが政治的に代表されていない、という思いが見えます。
いわゆる政治不信という感覚です。
シュミットが「討論と公開性」を議会の精神的基礎だと主張するあたりにも、
議会主義では一般の人々の声が政治に届かないという実感が根底に感じられます。

その意味で、現在の日本でもシュミットに共感する人は出てくると思います。
民主党政権の失態によって政治不信に陥った国民を尻目に、
安倍政権が国民軽視の政治を行っている現状は、
まさに国民が代表されていない民主主義の常態化といえるからです。

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