「聴く」ことの力 の感想

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タイトル「聴く」ことの力
発売日2014-01-31
製作者鷲田 清一
販売元CCCメディアハウス
JANコード登録されていません
カテゴリジャンル別 » ノンフィクション » 思想・社会 » 思想

購入者の感想

 最近の医療人類学(臨床社会学、臨床人類学)のトレンドである、「ナラティヴ」という発想を一歩進めた、鷲田臨床哲学の代表作。
 ナラティヴという考え方は、すでにクラインマン「病いの語り」やグリーンハル「ナラティヴ・ベイスド・メディスン」で呈示されていたが、ここでの著者の主張はある意味極めてシンプルである。従来は「ナラティヴ」を傾聴することによって、病者にとっての「病い」とは何かを知る、ということに力点が置かれてきたが、実は知ることではなく、傾聴すること自体にひとを癒すちからがある、というものだ。
 もちろん、この考え方自体はすでにカウンセリングにおけるロジャース理論と一脈通ずるものがあり、著者の完全な独創というわけではない。しかし、すでに技法としてある意味限界が指摘されているロジャース理論をもっと幅広い局面で生かしてゆくために、ナラティヴという思想と結びつけたことは紛れもない著者の功績であろう。
 また、すでに多くの方が指摘している通り、ファンの多い独特の文体と、砂丘を取り続けた特異な写真家、植田正治の写真が使用されていることも、本書の本としての魅力を高めていることも確かである。
 鷲田清一の著書として、まず第一に指を屈したい代表作である。

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