粛清の嵐 小説フランス革命 15 (集英社文庫) の感想

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参照データ

タイトル粛清の嵐 小説フランス革命 15 (集英社文庫)
発売日2015-02-20
製作者佐藤 賢一
販売元集英社
JANコード9784087452853
カテゴリ » ジャンル別 » 文学・評論 » 歴史・時代小説

購入者の感想

13巻から本巻15巻までの文庫3冊が、単行本では2冊分で、ジロンド派とジャコバン派の抗争に決着がついて、いわゆるジャコバン独裁で粛清の嵐が吹き荒れるまでを描いている。
ジャコバン独裁にいたるくだりは、文庫2巻以上を使っており、もどかしさもあった。
しかし、本巻では、革命裁判所による大量の死刑を実にあっさりと描く。マリー・アントワネットの裁判から死は1節、初期からここまでの登場人物の死刑は1頁で済まされている。いい加減な裁判とギロチンは、一瞬で誰もが同じという儚さを感じさせる。

フランス革命の大きな構図として、右派が次第に押し出されるわけで、順に王党派、フイヤン派、ジロンド派と進むたびに、本来は左派だった人々が真ん中さらには右派としてみなされていく。それはジロンド派であったし、ジャコバン派の中でもダントンはそうして崖っぷちに立たされもした。
一般には独裁的恐怖政治の主犯格とされるロベスピエールを本書では、違う形で描いている。この違和感は、本作を通読していると初期の描写の中で腑に落ちるもので、彼の窮地に駆け付けたデムーランそしてダントンへの振舞い、そして、3人そろっての姿は、正直心が熱くなった。
でも、3人とも・・・それが分かっているからこそ、一瞬の3人に本書1巻当時の何者でもなかった3人がだぶって感慨深い。小説フランス革命の名場面といえる。

他方で、革命の狂気は、もはや本人達にも制御できていないエベール派と理念に突き動かされるサン・ジェストに体現される。
中でも、宗教や言語といった形での対立が革命の中にあったことを伝える本書後半のくだりは、さすが佐藤賢一といえるだろう。

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