相転移と臨界現象の数理 (共立叢書 現代数学の潮流) の感想

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参照データ

タイトル相転移と臨界現象の数理 (共立叢書 現代数学の潮流)
発売日販売日未定
製作者田崎 晴明
販売元共立出版
JANコード9784320111080
カテゴリジャンル別 » 科学・テクノロジー » 物理学 » 物性・化学物理学

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2,3個の水分子の集まりでは起こらないことが、10の19乗個のレベルになれば、水の3態や金属の磁化という協力現象が起こります。ニュートン力学では多体問題を解くのは困難ですがカオスが発見されました。ノイマンはボルツマン統計力学における無秩序仮定を批判しました。Ising模型では、格子の各点のスピンの上向き下向きで状態をあらわすことにより秩序と無秩序の間の絶妙な関係を与えて、相転移を生み出しています。まさに、コロンブスの卵ですが、さらに驚くことには、臨界現象の様々な観測事実がIsing模型によって数学的な定理として証明できるということです!非常に単純な模型ですが、究めると、非常に豊かで奥深い数理物理が潜んでいるのです。
相転移という経験的直観による総合的解釈(Aが起こればBが続いて起こる)が、知性的直観により定理として数学的に証明されるのは実に爽快です。これは現実世界と数理物理学との関係性の新たなビジョンです。
1980年代の厳密統計力学と構成的場の量子論の研究の活発な相互作用から生まれた重要な成果の一つに統計力学モデルの臨界次元が4次元ということがあります。ポアンカレ問題でも3次元球を4次元のホログラフィーとして考えると、3次元球と同相な単連結3次元閉多様体に住む我々にとっての4次元は幾何学にも意味があります。
さて、この本の随所に「積の哲学」ゼータ関数が現れているように思われます。「積」は双対性とも相性がよいようです。

(高温相)
高温相のIsing模型は、様々なグラフ(スピンを結ぶボンドの集合)が、温度の逆数とボンドの総数の関数に比例する重みで出現する確率幾何的な系と等価である。(確率幾何的な手法として高温相ではランダムループ展開、低温相ではコントゥアー展開が説明されている。)
高温相では必ず2点相関関数の指数的減衰がみられる。
相関距離は相関関数の指数的減衰を一般的に特徴づける。

(低温相)

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