どうせなにもみえない―諏訪敦絵画作品集 の感想

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参照データ

タイトルどうせなにもみえない―諏訪敦絵画作品集
発売日販売日未定
製作者諏訪 敦
販売元求龍堂
JANコード9784763011305
カテゴリ文学・評論 » 文学賞受賞作家 » 芥川賞 » 51-75回

購入者の感想

諏訪市美術館で9/4まで同書タイトルの作品展が開かれていています。

ある一枚の絵は日曜美術館7/3「思い出を蘇らせる絵画」として放映されました。
不慮の死をとげた娘を「蘇らせてほしい」と
両親から難問依頼され描かれた『恵里子』という作品です。

両手で胸のところに遺品となった父から贈られた時計を
譲り渡すかのように持っています。
しかし、その文字盤はみえません。
この世の時間はきざまれていないのです。
蘇らせることができても同じ時間を共有できないことを象徴しています。

リアリティーに迫るために2つの作業を作者はしています。

両親をモデルにデッサンして二人の遺伝子から得られる恵理子氏の
情報を得ようとしました。

また
義肢装具士に依頼した写真データを元に恵理子氏が義手をオーダーしたら
こうなるだろうという想定の物。(白いブラウスとともに展示されていました)

その生きていない人の命の不存在に抗した命の存在感。
それは写真では表現できない絵画の勝利というものでしょう。
そのリアリティーに圧倒されます。

2004/06/14記 ふと画集を見直してみて、タイトルの「どうせなにもみえない」は
「だから、しっかり見えるものをみる」というメッセージかもしれないと
思います。

そのメッセージを諸作品から、特に1)浮かび上がる肌の質感と2)匂いとして昇華しています。
1)の肌の質感は、女性の肌のたおやかさと老いた肌の生きた証のしみにありました。
2)の匂いは、描かれた人物の後頭部からそよぐ淡いシルクのように描かれています。

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