ロングセラーを呼ぶマーケティング の感想

ショップジャパン代表の本ということで、ECやオムニチャネルにおける販促のあり方について参考になれば、と手に取りましたが、非常にベーシックな考え方が腹に落ちる例とともに語られており、
いい意味で裏切られた感じがしました。テクニックではなく、指針として役に立つ本だと思います。

まず第１章では、一世を風靡して、一時的に大きな売り上げを構築したビリー・ザ・ブートキャンプを、自ら「大失敗」と断じ、まずその理由を３つあげています。
１）「使いこなせない人が多くいた」、すなわち、商品の本当の価値である、成功の結果による感動や喜びを味わえない人が多くいた。ゆえに、購入者から周囲に良質なブランドイメージが広がっていかなかった。
２）「ビフォー・アフターの伝え方実現までの導き方が未熟だった」。体の変化というアフターの、アフター、すなわち、ライフスタイルの変化や夢の実現、を想像していただき、使ってみたいと思わせることができなかった。その工夫ができるまで売れ続けられなかった。
３）「会社、ブランドの知名度アップにつながらなかった」。後の章で語られているのですが、会社にとって一番大事な「利益」を拡大するには、お客様に商品を愛用していただき、会社やブランドが信頼されることで結果としてマーケティングコストを低減させることができる、と。

第２章では、ロングセラーを生み出すために大切なことを語っていますが、個人的には２つ、印象に残りました。
ひとつは、長く売り続けるために必要な、商品の「ストーリー作り」に大切なこととして、「USP＝Unique Sales Point：商品の機能上の際立った特徴や性能」だけでなく、「ESP＝Emotional Sales Point：感情面に訴える、悩みの解消を的確に表現したり、多くの人がそうでありたいと願うことや、その商品から生まれる生活の変化を表現するポイント」が重要だという点。USP的なものは多くの会社で気にしているでしょうが、これからの時代は、ESPが差別化の要になると思います。