図説 サインとシンボル の感想

アマゾンで購入する

参照データ

タイトル図説 サインとシンボル
発売日販売日未定
製作者アドリアン・フルティガー
販売元研究社
JANコード9784327377397
カテゴリジャンル別 » ノンフィクション » アート・エンターテイメント » アート・芸術

購入者の感想

 まだ通読したばかりで精読というには程遠いが、記号、サイン、文字、シンボルに関する、改めてのおさらいができるという点では、まことに適切かつ便利な教科書でもある。Part1「サインの認識、サインの形成」はもちろん認識論として必読であると思うが、歴史に興味を持つ評者としては、やはりPart2「話し言葉を固定するサイン」中の諸章、なかんずくIV「世界のアルファベット」が、やはりアルファベットを歴史的に通覧できて、面白く興味深かった。ここでは162ページの「芸術は素材でなく、間に宿る」という指摘について考えたことを記しておきたい。あたかもこの指摘は、日本や中国などの水墨画や禅画、俳画について語っているようでもあるが、それがここでは、われわれからすればしばしば無味乾燥のようにも見える、ヨーロッパで発展した文字の配置やバランスの決定的要因として述べられていることが、逆に興味深い。だが日本語で文章をタイプする際、MSWordでこれを、つまり「間の調整」をやられると、とくに評者としてはきわめて不快に感ずるのだ。それはなぜかと考えるに、日本では(つまり中国伝来の書式伝統では)、字は「升目」に入れるものであり、つまり「升目」そのものが、もはや「間」を決定しているからではないだろうか、などとあらためて考えさせられた。そのため、活字にきわめて近い用途を持ち続けてきた隷書・楷書体漢字、およびその派生文字としての平仮名、片仮名に対するタイポグラフィカルな考察は、本書を下敷きにしてむしろ日本人こそが行うべきであろうとも考えた。
 蛇足ではあるが、最近の「ライン」等で茶飯事となった「スタンプ」の収集、例示、分析などにまでは目が届いていないのは当然であり、ここへの考察も、またこの業績の上に積み重ねられていくことが、一層の人類文化への貢献となっていくのではないだろうか。

あなたの感想と評価

コメント欄

関連商品の価格と中古

図説 サインとシンボル

アマゾンで購入する
研究社から発売されたアドリアン・フルティガーの図説 サインとシンボル(JAN:9784327377397)の感想と評価
2017 - copyright© みんこみゅ - アマゾン商品の感想と評価 all rights reserved.