芭蕉紀行文集―付嵯峨日記 (岩波文庫 黄 206-1) の感想
参照データ
タイトル | 芭蕉紀行文集―付嵯峨日記 (岩波文庫 黄 206-1) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 松尾 芭蕉 |
販売元 | 岩波書店 |
JANコード | 9784003020616 |
カテゴリ | » 本 » ジャンル別 » 文学・評論 |
購入者の感想
嵐山光三郎『悪党芭蕉』を読み、「笈の小文」が気になって読んだ。
旅人と我名よばれん初しぐれ
芭蕉のこの句に対するイメージは変わった。〈芭蕉〉は〈芭蕉〉としての自分を忘れ、ただの〈旅人〉となろうとしていた、風流の人・風雅の人・風狂の人。そんな漠然としたイメージを抱いていた。でも、……
野ざらしを心に風のしむ身哉
百骸九竅の中に物有。かりに名付て風羅坊といふ。
さらしなの里、おばすて山の月見ん事、しきりにすゝむる秋風の心に吹さはぎて、
などの句や文章は、このイメージを裏書きする。しかし、それだけではなかった。
寒けれど二人寐る夜ぞ頼もしき
風流も、風雅も、風狂も、吹き飛んでしまう、爆弾のような句だ。
霧しぐれ冨士をみぬ日ぞ面白き
など、俗な富士に反感を抱いた太宰を思わせなくもない。
多面体を思わせる、芭蕉の正体は、いったい、どこにあるのか? 芭蕉の魅力に、とりつかれそうだ。
旅人と我名よばれん初しぐれ
芭蕉のこの句に対するイメージは変わった。〈芭蕉〉は〈芭蕉〉としての自分を忘れ、ただの〈旅人〉となろうとしていた、風流の人・風雅の人・風狂の人。そんな漠然としたイメージを抱いていた。でも、……
野ざらしを心に風のしむ身哉
百骸九竅の中に物有。かりに名付て風羅坊といふ。
さらしなの里、おばすて山の月見ん事、しきりにすゝむる秋風の心に吹さはぎて、
などの句や文章は、このイメージを裏書きする。しかし、それだけではなかった。
寒けれど二人寐る夜ぞ頼もしき
風流も、風雅も、風狂も、吹き飛んでしまう、爆弾のような句だ。
霧しぐれ冨士をみぬ日ぞ面白き
など、俗な富士に反感を抱いた太宰を思わせなくもない。
多面体を思わせる、芭蕉の正体は、いったい、どこにあるのか? 芭蕉の魅力に、とりつかれそうだ。