Arcadia の感想

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この作品がロンドンのウエストエンドでヒットになった時、ある批評家はこう言っていた。「ストッパードは我々に『難しいことが理解できた』と思わせることができる点で偉大と言える」と。
実際、おかしなことにそうなのである。このPlay にはかなりハイレベルで専門的な、いわば大学の研究室のぶつかり合いみたいなところがあるにもかかわらず、台詞さえ理解できたらそういった専門知識までモノにしたような錯覚にとらわれる。だが実際どうだろうか？深く読みたければ、そういうことを考えながら読むのも良いと思う。
あるマナーハウスで現代の研究家たちと過去そこで暮らしていた人々がめまぐるしく入れ替わるという設定で、結局「現在我々が謎としているものって結構バカバカしいかも」というのがテーマとして出てくる。一度は何かを深く研究したことのある人間に相通じるテーマだと思う。
人物もそれぞれキャラが立っており、過去と現在でダブったキャラもいれば独立しているキャラもある。特に現代場面でのサブキャラ、ナイティンゲールが桁はずれにピエロで最高に面白い。
個人的には科学の進歩や世界観などについてぜひメモっておきたい名台詞オンパレードだと思う戯曲。
なんとも言えなくなるオチまで、頑張って読んでもらいたい洋書。