隔離の記憶: ハンセン病といのちと希望と の感想

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タイトル隔離の記憶: ハンセン病といのちと希望と
発売日販売日未定
製作者高木 智子
販売元彩流社
JANコード9784779121371
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 社会学 » 社会学概論

購入者の感想

インパクトのある前書きから、一気に読了。
「感染する」という偏見の下、
親兄弟と引き離されて療養所に隔離され続けた、ハンセン病だった人たち。
まずその悲嘆や怒りを描くが、筆者の書きたいことは実はそこじゃなかった。

喜怒哀楽がそろってこそ人間なのに、メディアは「怒」と「哀」しか描かないと、
自省を込めて筆者は言う。
そして一度絶望したはずの人々のたくましさ、強さ、しぶとさが凄い。
死にたくなっても当たり前なのに、それぞれ生き甲斐や喜びをつかみ取っていく。

・施設見学に来た子供たちが「孫」になり、結婚式にまで招かれた男性。

・施設の人たちの宿泊を拒否したことで批判され、閉鎖されたホテルの従業員を助けようとしたのは、
当の施設の人たちだった。

・「怒っても泣いても何も残らない。残された人生、より楽しく」。葡萄酒に合うピザ食べて「いえ〜い」。

・施設で詩を書き続け、賞を取り、映画化されて吉永小百合が朗読した女性。

一番印象に残ったのは、中国の元患者が置かれた悲惨な状況にがくぜんとし、
「俺もやれることがあった」と75歳で中国の村を歩いて、消毒や包帯の巻き方を教え続けた男性。
人の面倒を見ているうちに自分の足がぐにゃりと曲がり、切断しなければならなくなる。
療養所に恥を忍んで帰った。でも「俺は精一杯やった」。ぐっときた。

ところが、それで終わりじゃない。
中国で出会った日本人の若者が彼の活動を引き継いだ。

筆者は中国の村のある家に彼の写真が飾られているのをみつける。
彼は散ってはいなかったのだ。

表題はハンセン病だけど、専門知識なしですいすい読める。
いかにもメディア的なお説教もない。
そのくせ1章ごとに、自分を振り返って「俺だってまだまだやれるんじゃないの?」と思わされる。
ハンセン病に全く興味が無くて、かつ人生に行き詰まってる人こそ読んだ方がいいと思う。

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