下流老人 一億総老後崩壊の衝撃 (朝日新書) の感想

アマゾンで購入する

参照データ

タイトル下流老人 一億総老後崩壊の衝撃 (朝日新書)
発売日2015-06-12
製作者藤田孝典
販売元朝日新聞出版
JANコード9784022736208
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 社会学 » 社会学概論

購入者の感想

これまで、同種の本は金融関係者から出されていましたが、福祉関係者から生の声が出るというのも、印象深いですね。ごく普通の人でも、このままの社会、経済情勢では老後はとんでもないことになってしまう恐れがあることが、よくわかります。現在の日本における貧困は何なのか、網羅的にとらえており、かつ、それぞれに具体的な対策を提言しているのが良い。それも、去年のNHKスペシャル「老後破産」であったような、外国の制度をそのまま日本に移せという、現実味のない対策ではなく、行政、立法がちょっと努力すれば届くような案や、個人として今すぐにでもできそうな対策も多いことに共感します。投資や貯蓄をマイナスイメージで描いていないことも良かったです。個人的には資産課税まで踏み込んでほしかった気がしますけれど。

セイフティーネットとしての生活保護のありかたについて、本書では多くふれられています。生活保護はネガティブイメージが先行していますが、受給者の大部分は高齢者であり、高齢者の格差が深刻になっていること。そして、先日も生活保護を受給できなかった母親が子供を殺害する悲惨な事件の判決がありましたが、お金では命をあがなえないということを、もっと日本の共通認識としてもってほしいと思います。本書では生活保護の対象の人は当然、受けるべきというスタンスを貫いており、こうした声を上げ続けるのは重要です。ただし、、暴力団絡みなどあきらかな不正受給は当然取り締まるべきであり、生活保護側に立った人はよく不正は率からすればたいしたことがないと目をつぶる傾向にありますが、本書ではそうした、生活保護へのひいきの引き倒しになっていないことも好感がもてました。

新書で内容もかみくだいてあり、読みやすい文体で書かれています。行政、議員、メディアの人にはぜひ読んでもらいたいけれど、自分は中流だから、下流老人なんかにならないと信じている「普通の人」にこそおすすめです。

私は西日本の地方都市に住んでいる。周辺は農地だが、若者はそこでは働いていない。
70歳を越えたような老人が、腰を曲げ、田畑を耕しているのだ。
しかしおそらく次世代は宅地になっているだろう。

ずっと農業でやって来た場合は、国民年金だけのことが多い。
いわゆる「厚生年金部分」は入らないことが多い。
私の両親は90歳近いが、二人合わせて月10万円少しの年金しかない。
広大な田畑を持っていたのなら別だが、
多くはそうではない。
となると、今後健康的にも衰え、収入もあまりなく、
蓄えがたんまりある人以外は、ここでいう「下流老人」になる。
何と言っても医療費負担が大きい。
いくら1割負担の後期高齢者だとしても、介護や入院などが多いと、けっこうバカにならない。
貯金を食いつぶすことになる。

なにより地方都市は「給料」が安いので、
住民の収入も低い。貯蓄も少ないのだ。
こういう人が将来「下流老人」になる。

本書はそういうケース、問題を指摘していく。
対策も書かれているので、実行するしないはともかく読んでおいて損はないだろう。

周辺のデイサービス施設、老人ホームの多さは、
都会の比ではない。
周囲はお年寄りばかりだ。私もそろそろ、そこに入る。

仮に85歳まで生きたとして、最後の10年間あたりの医療関係費は、
少なくとも私の周囲ではかなりになる。
これが生活を圧迫するし、老人の面倒をみる「60代」あたりの生活にも響く。

静かな警告の書、という感じだが、ときおりゾッとすることもある。
真面目な,いい本である。

あなたの感想と評価

コメント欄

関連商品の価格と中古

下流老人 一億総老後崩壊の衝撃 (朝日新書)

アマゾンで購入する
朝日新聞出版から発売された藤田孝典の下流老人 一億総老後崩壊の衝撃 (朝日新書)(JAN:9784022736208)の感想と評価
2017 - copyright© みんこみゅ - アマゾン商品の感想と評価 all rights reserved.