砕かれた鍵 (百舌シリーズ) (集英社文庫) の感想

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参照データ

タイトル砕かれた鍵 (百舌シリーズ) (集英社文庫)
発売日2014-03-20
製作者逢坂 剛
販売元集英社
JANコード9784087451689
カテゴリ » ジャンル別 » 文学・評論 » ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

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週刊文春1992年 国内8位。

暗殺者の”百舌”が登場しない百舌シリーズ 第3弾。

公安警察シリーズの方がシリーズ名としてはしっくりくるが、それだけ「百舌の叫ぶ夜」の人気が高かったということか。

続発する警察官の不祥事。警察庁特別監察官 倉木尚武は、麻薬に絡んだ事件で射殺された巡査部長の最期の言葉 ”ペガサス”を追う。その最中、倉木と妻 美希の息子 真浩が、入院中の病院で爆弾テロに巻き込まれて死亡する。復讐を誓う美希は、倉木の制止を聞かず、独自に犯人の調査を開始するのだった ・・・

シリーズキャラクターは健在ながら、倉木と美希が夫婦となり、大杉が警察を辞めて探偵事務所を開業するなど、若干の変化がみられる。倉木のストイックさは、「百舌の叫ぶ夜」に回帰したかの如くで、前作「幻の翼」より際立っているようだ。冷徹なまでの無表情の中に、一瞬垣間見える激情が、倉木の魅力だったりする。

ストーリは、冒頭で提示される一見バラバラの出来事が、ラストに収斂していくという僕好みの展開だ。”百舌”亡き後、本作品は、”ペガサス”が敵役で、錯綜する事件にちらほらと、影のように寄り添っている。”ペガサス”ははたして誰なのか。二転三転する真相に、ピーンと張りつめたような空気感があいまって、最高の警察小説に仕上がっている。

残念なのは、美希が犯人を追い詰める過程で、ちょっといただけない行動をしてしまうことろ。これがないと、話が続かないのだが、説得力に欠けてしまうかな。それでも、最後まで一気に読ませてくれる力がある作品なのだけれど。

「百舌の叫ぶ夜」「幻の翼」「砕かれた鍵」「よみがえる百舌」「のすりの巣」と5作に及ぶ「百舌シリーズ」の第三弾。
麻薬密売捜査中の警部補の射殺事件、元警察官による婦人警官の殺人事件など、警察官の関係する事件が続発。事件を捜査する倉木は、それぞれの事件でやがて「ペガサス」という謎の言葉にたどり着く。
一方、倉木と美希の息子が入院する病院で爆発事件が発生し、息子と母親を失い、復讐に燃える美希は、懸命の捜索を開始する。そして美希も「ペガサス」にたどりつき・・・。
シリーズ物というと、回を重ねるごとに魅力が薄れる物が多い中、本作品は、前二作品に勝るとも劣らぬ、優れたサスペンスにしあがっている。そして、今までのシリーズ物では滅多にお目にかかれない、驚愕のラス??が展開する。
本作品は93年度のこのミスで12位、92年の文春で8位を獲得した。0

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