善と悪の経済学 の感想

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タイトル善と悪の経済学
発売日販売日未定
製作者トーマス・セドラチェク
販売元東洋経済新報社
JANコード9784492314579
カテゴリジャンル別 » ビジネス・経済 » 経済学・経済事情 » 経済学

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 本書では、ギルガメシュ叙事詩から始まり、旧訳聖書、ギリシャ哲学からアダム・スミスまで、経済と倫理がどのような関係にあったかが書かれている。

 旧約聖書は「人間は悪を為すものなので倫理が必要。戒律の枠内で効用を最大化して良く、富は神の祝福」と考える一方で、「定期的な債務免除など社会的セーフティーネットが準備とされていた」という。ここ数年、世界中で格差社会への問題意識が急速に高まっているが、旧約聖書の思想は現代を描いているようで興味深い。
 これがキリスト教になると、現世における善悪の報いは放棄され、「信仰による救いは死後の世界で神から与えられる」と転換する。そのせいか、教父アウグスティヌスに代表される初期キリスト教は、プラトンのイデア論(現実から隠れた合理的真理を探究)やストア派(行為の結果に関係なく、行為自体が善であるべき)の影響が強く、非常に禁欲的なものとなったが、13世紀にトマス・アクィナスがアリストテレスを再評価し、理性を重視する世俗主義に回帰してきたという。
 科学的理性というと、17世紀にデカルトが客観性を徹底して追求したが、「感覚は欺かない」の根拠が「神は欺かないから」であったことから考えても、科学といえども完全に客観的になりうるわけではない。
 18世紀に登場した近代経済学の父アダム・スミスは、「神の見えざる手」で有名で、自由放任主義の権化のように思われているが、スミス自身は「道徳感情論」を著したように、倫理重視の道徳経済学者だったことを強調している。むしろスミスより少し前のバーナード・マンデヴィルが現代的「神の見えざる手」の急先鋒で、「悪徳こそが経済成長の源」と主張した。犯罪ですら警察需要を生むという極論はともかく、強欲、美食、虚栄といったものに需要創出パワーがあることは認めざるを得ない。

 企業がマーケティングに知恵を絞っているのは、消費者の欲望を刺激して売上げを伸ばすためである。マクロ経済が成長するためには、需要を膨らませ続ける必要があるが、近年では公的部門も民間部門も借金を積み上げて需要を支えており、この累積債務が世界経済の大きなリスクになっている。他方で格差問題が浮上してきている。

本書は、第一部で、物語(ギルガメッシュ王物語、聖書など)を元にして、
『表舞台に出てこない信念、理論や学説の中で無言の前提として
支配的な役割を果たしている観念はどのようなものか?』
について考えています。強欲、進歩、善悪、市場といったテーマを
導き出し、それらが第二部のテーマとなっています。
経済学の倫理的側面について多く触れています。

以下、本書を読んで示唆を受けた内容となります。

・欲望→消費→経済成長(進歩)
     ↑
    借金ドーピング
という基本構造。
・文明を知ったエンキドゥ
[1]何が足りないかを彼に教えた。不足を伝える。というマーケティング手法。
非所有による不安のあおり方。→より多くを必要とするようになってしまう。
欲望の目覚め。知ってしまうと、欲求になる?
[2]経験したことがある願望が「欲求」で、(既知)
未経験だけど、なんか欲しいのが「欲望」で、(未知)
そもそも願望の対象に上がってきていないが、
一度経験すると、欲求になるのが…「???」
贅沢、薬物、中毒とかで、生活水準下げられないとかに関連するワード。
何か良い表現はないものか…憧れ?とか?
・自己実現的予言と自己回避的予言
『予言は、なされたがためにそれを引き起こすこともあれば、食い止める
こともある。』
・景気循環の倫理的説明
成功者の息子は、成功者程、頑張らないのが、世の常?
・効用(≒快楽)だけが人生の目的ではない
・効用の軸はいくらでも有り得る。蓼食う人も好き好き。
生存戦略的に自分が手に入らないものを無理に求めるのは、
あまり自分を幸せにしないのかもしれない。
本当に欲しいものだけに集中して、人が欲しているから、
自分も欲しく…の構造にあまり嵌らないようにした方がいい。
・物語を読むことが難しいのは、
体系、構造が明示されていないから。
読者のワーキングメモリを意識して、

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