スターバックス再生物語　つながりを育む経営 の感想

想像以上に素晴らしい本。成長によって蝕まれた組織が、創業者のもとで、
競争優位を取り戻していくそのプロセスが克明に描かれていました。

そのキーは、戦略や戦術ではなく、
自らの根本にある「物語」と向き合い、その価値を見つめなおし
それが求めるものに必死で取り組んでいく組織をつくること。

競争優位のもとは、施策ではなくそれらを貫く世界観であること。
そして、それを実現するポイントは
その世界観をわかりやすい言葉と場づくりで示し続けること。
コミュニケーションの大事さが、ひしひしと伝わってきました。

スタバだから、ではなく、結局どの会社でもできること。
それを実感できた本でした。文章も読みやすく、通勤のおともにもお勧めです。

スターバックスと言うブランドに便乗した亜流本が多いですが、
本書は創業者であるハワード・シュルツ氏による自伝である。
スターバックス成功物語という本が大変売れましたが、この本はその続編です。
会長として引退していた著者が、
拡大路線からきた店舗等の品質の低下と米国のリーマンショックから来る大不況により、
スターバックスがピンチになったときに社長として復活したところからはじまります。
株式上場をしていたらしく株主総会で説明するところでの苦労などが如実に物語ってきます。
また経営陣を一新することと、旧経営陣をやめさせる苦悩など、組織の態勢立て直しの現場が文字から沸き立ってきます。
国籍はちがえど、同じような問題に取り組み、同じような苦労をして、それでも前に進んでいくんだという姿勢に大変共感できました。
アンケートでファーストフード店のインスタントコーヒーに負けたときのショックは彼の職人気質的な面がうかがえます。
本物を追求してるのにお客様に理解してもらえないジレンマとでも言えばいいだろうか。
成長期のイケイケな状態で書かれた本はいっぱいあるが、苦境に立たされた体勢の立て直しにうまくいってその過程を記した本はあまりないようにおもわれる。
そういう意味でも貴重な一冊である。0