吹奏楽燦選 の感想

ロバート・エドワード・ジェイガーの「ジュビラーテ」の[改訂版]の音源収録はこれが初めてではないでしょうか。多くの中高校生の模範となる演奏なのは間違いなく、切れ味の良さは佼成ウインドオーケストラの強みでしょう。

ラストの東海林修作曲の『ディスコ・キッド』は大好きな作品です。
吹奏楽を愛する人間にとって、お馴染みのジャズ・テイストの作品ですが、改めて聴くと軽快さと少し時代を感じさせる音楽で、今でもその個性の輝きは健在でした。
パーカッションが特に躍動感に溢れ、リズムの歯切れが良く、心地よく聴かせてもらいました。この曲は打楽器群の活躍とソリストの力量が決め手ですから。
指揮者の渡邊一正も慣れている音楽のせいか、大きな捉え方が感じられました。躍動感がストレートに伝わるような楽しい演奏に仕上げており、ラストに置くに相応しい作品だと言えるでしょう。

櫛田朕之扶作曲の「東北地方の民謡によるコラージュ」も櫛田氏の特徴である「和」の世界の表現が吹奏楽の音色と上手くマッチしています。日本人の感性で吹奏楽の可能性を広げた功績は大きく、これからも演奏し続けていってほしい作品の一つでした。ここでは安定した演奏を聴くことができます。

吉松隆作曲、福田洋介編曲の「NHK大河ドラマ《平清盛》テーマ曲」の演奏は良かったのですが、このアルバムの企画意図とは少し外れる感じがします。一定程度売れる必要があるので挿入されたのでしょうが、企画されたコンクール曲集のイメージとは少し違うような気がしました。2分52秒の長さでは自由曲にもなりません。
金管楽器の炸裂は流石ですし、大河ドラマの魅力や雰囲気の良さは伝わってきました。

真島俊夫「"地球"　-美しき惑星-」はTKWO委嘱作の初ＣＤ化ということで貴重な音源になりました。1分前後から始まる伸びやかな旋律の美しさが心地よく響きました。フルートやクラリネット、オーボエ奏者のソロ・パートの力量は流石に見事でした。