レジリエンス・ジャパン 日本強靭化構想 の感想
参照データ
タイトル | レジリエンス・ジャパン 日本強靭化構想 |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 藤井 聡 |
販売元 | 飛鳥新社 |
JANコード | 9784864102360 |
カテゴリ | ジャンル別 » 社会・政治 » 政治 » 日本の政治 |
購入者の感想
内閣官房参与である京都大学の藤井教授の最新著で、安倍政権の経済政策(アベノミクス)の背後にある基本的な考え方や背景事実を解説している本です。安倍政権の政策全てが解説されているわけではもちろんないですが、その基本的な考え方を知るためには、自民党の公約とか政策集とかを読むよりも、本書のほうが分かりやすいんじゃないでしょうか。
前半はアベノミクスの全体像に関する解説になっていて、日本がデフレ不況に陥った経緯と、そこから脱するためには金融政策と財政政策の両方が必要で、かつ政府部門が行う公益事業が最も有効な経済活性化策であることが解説されています。ここでの重要なポイントは、財政支出を切り詰め、規制緩和などによって競争とグローバル化を促進することを目指したかつての「構造改革」路線は今は適切な策ではないということと、デフレ不況対策に関して民主党政権が驚くほど「無策」であったことを理解することでしょう。著者は、デフレ脱却のためには、「橋本政権の行政改革からこの十五年間、やり続けてきたことの『逆』を行けばいい」と断言します。
このことを理解するには、本書の中盤以降で解説される「国土強靱化」の構想と、その理論的な支柱となる「レジリエンス」の概念について考える必要があり、これが本書のメインテーマです。
レジリエンス(resilience)は「強靱性」と訳されていますが、強靱の「靱」が靱帯の「靱」であることからも分かるように、鉄のようにカタいという意味での強さというよりはむしろ、環境変化に対する柔軟な適応力を持っているとか、ダメージを受けたときに速やかに回復できるといった、伸縮性を伴った強さのイメージです。
本書では、レジリエンスの3要素が
(1)どんな危機に遭遇しても致命傷を負わない
(2)その危機による被害を最小化する
(3)受けた被害を迅速に回復させる
として定義されています。すごく単純に言うなら、レジリエンスとは「危機への耐性」ぐらいに理解すればいいと思います。この定義からも分かるように、レジリエンスの概念は「危機」というものと深く関わっているのですが、なぜそれが大事なのかというと、日本には今、
前半はアベノミクスの全体像に関する解説になっていて、日本がデフレ不況に陥った経緯と、そこから脱するためには金融政策と財政政策の両方が必要で、かつ政府部門が行う公益事業が最も有効な経済活性化策であることが解説されています。ここでの重要なポイントは、財政支出を切り詰め、規制緩和などによって競争とグローバル化を促進することを目指したかつての「構造改革」路線は今は適切な策ではないということと、デフレ不況対策に関して民主党政権が驚くほど「無策」であったことを理解することでしょう。著者は、デフレ脱却のためには、「橋本政権の行政改革からこの十五年間、やり続けてきたことの『逆』を行けばいい」と断言します。
このことを理解するには、本書の中盤以降で解説される「国土強靱化」の構想と、その理論的な支柱となる「レジリエンス」の概念について考える必要があり、これが本書のメインテーマです。
レジリエンス(resilience)は「強靱性」と訳されていますが、強靱の「靱」が靱帯の「靱」であることからも分かるように、鉄のようにカタいという意味での強さというよりはむしろ、環境変化に対する柔軟な適応力を持っているとか、ダメージを受けたときに速やかに回復できるといった、伸縮性を伴った強さのイメージです。
本書では、レジリエンスの3要素が
(1)どんな危機に遭遇しても致命傷を負わない
(2)その危機による被害を最小化する
(3)受けた被害を迅速に回復させる
として定義されています。すごく単純に言うなら、レジリエンスとは「危機への耐性」ぐらいに理解すればいいと思います。この定義からも分かるように、レジリエンスの概念は「危機」というものと深く関わっているのですが、なぜそれが大事なのかというと、日本には今、