TPP亡国論 (集英社新書) の感想

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参照データ

タイトルTPP亡国論 (集英社新書)
発売日2011-03-17
製作者中野 剛志
販売元集英社
JANコード9784087205848
カテゴリ経済学・経済事情 » 各国経済事情 » 日本 » 国際経済と日本

購入者の感想

ちょっと読むタイミングを間違えてしまいました。
トランプさんのアメリカがTPPから抜けた現状、どうしても切迫感に欠けた話にならざるを得ません。
TPP論議真っただ中のときに読んでいればもうちょっとおもしろかったのかもしれません。

 著者はもともと『自由貿易の罠』(青土社)という本を書いているぐらいなので、「自由貿易」そのものに批判的であり、本書中でもその論拠が述べられている。しかしTPPに関しては、そんな原則的な立場をうんぬんする以前の問題であって、そもそも自由貿易の推進案としてもデキが悪すぎるので、問答無用で却下すべしというのが本書の見解だ。以下にその主張を要約しよう。

 TPP参加賛成派は、TPPに乗り遅れると「世界の孤児」になってしまうので、さっさと参加して「開国」せよと言っている。しかしそもそも今の日本は、「鎖国」と言われるような極端な保護主義と採っているわけではない。全品目平均の関税率は韓国より遥かに低く、アメリカよりも低い。農産物に限定すると、アメリカよりは高いが、韓国より遥かに低く、さらにEUよりも低い。そしてもちろんWTOに加盟しているし、インドやASEANなど12の国・地域とすでにFTAやEPAを締結しており、さらに数ヵ国と調整中だ。これのどこが「鎖国」だと言うのか?
 逆に、TPP参加が「開国」に当たるかどうかも怪しい。参加国を見るとアメリカ以外は小国ばかりであって、中国も韓国も、もちろんEUも参加しないのがTPPだ。これに参加しなかったら「世界の孤児になる」などというのは誇張が過ぎるというものだ。
 TPP参加で関税を撤廃すれば日本からの輸出が増えてハッピーというのもおかしい。輸出先は市場規模からして事実上アメリカしかないが、関税はすでにかなり低くなっており、貿易量を左右する最も重要な要素は「為替」である。そしてアメリカは大々的な金融緩和・ドル安戦略を採っているので、関税撤廃の恩恵など簡単に吹き飛んでしまう。しかも日本のメーカーは現地生産を相当程度進めているので、仮にアメリカ向けの販売が増えても日本の雇用は増えないのだ。

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