老荘思想がよくわかる本 (新人物往来社文庫) の感想
参照データ
タイトル | 老荘思想がよくわかる本 (新人物往来社文庫) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 金谷 治 |
販売元 | 新人物往来社 |
JANコード | 9784404041302 |
カテゴリ | 人文・思想 » 哲学・思想 » 東洋思想 » 東洋哲学入門 |
購入者の感想
本書は、“老荘を読む”(大阪書籍、1988年)を改題し、新編集したもので、朝日カルチャーセンターで読みながら話したものを原稿にしたもの。話し言葉で書かれており、極めて読みやすく通読も容易。それでいて、現在、広く読まれている老子より以前に書かれた1973年に発見された帛(はく)書老子(p55)を引用しながら、従来の解釈と対照しているなど、学術的にも高いレベルにある。本書でカバーされている内容は、老子と荘子の作者像、思想、儒教や仏教などとの比較など。原文の引用も多いので、特に“老子”は、原著を読まなくても(あるいは本書を読む方が)、“老子“を読んだような充実感が得られ、その理解に役立つ。実際のところ、老子も荘子も、原著は体系的には書かれておらず、その思想を理解するには、関連箇所を続けて読むなどしないと、全体像の把握は難しい。本書は、関連箇所をまとめて解説してあり、また、他の宗教・哲学との比較なども書かれており優れている。老荘思想に関して言えば、本書でも触れられているように禅などの思想に極めて近く、ヒンズー教、梵我一如の考え、普遍宗教、瞑想、神秘主義などのいずれかに触れたことのある読者であれば、思想に共鳴できる部分が多いと思われる。執着を捨てる部分などは仏教・ヒンズー教に近く、儒教には批判的であるが、儒教でも後期の易経などには、老荘の思想に共通する部分も多く、その点も解説されている。老荘の文章は、解釈が幾通りにもとれるものがあり、他書では、格調が高すぎて、訳文の意味がとれないこともあるが、本書は、著者の高いバックグランドと丁寧な解釈(解説)で、人生哲学の勉強には、原書以上に役立つものといえる。名言は以下。
自然とは“自(おの)ずから然(しか)る”の意味で、英語で言えばnatureではなく naturalである(p18)。
“無為自然“という言葉で老荘思想を総括。無為は有為にたいする言葉で、ことさらなわざとらしいことはしないという意味(p26)。
老子は紀元前300年よりもあと、孟子と荀子の間にできた本(p54)。
自然とは“自(おの)ずから然(しか)る”の意味で、英語で言えばnatureではなく naturalである(p18)。
“無為自然“という言葉で老荘思想を総括。無為は有為にたいする言葉で、ことさらなわざとらしいことはしないという意味(p26)。
老子は紀元前300年よりもあと、孟子と荀子の間にできた本(p54)。