And Then You Shoot Your.. の感想

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　ロメール・ベアデンのコラージュ・アート作品『Pittsburgh Memory』をジャケットに用いたザ・ルーツ，3年ぶりのアルバムです。
　オペラの一節を思わせるクラシカルなバラード「Theme from Middle of the Night」でアルバムは幕を開けます。歌っているのは何とニーナ・シモン。世の中の辛酸も苦悩も全て癒してくれるかのような包容力のある歌に癒されていると，対照的に不穏な雰囲気の「Never」が始まります。讃美歌を思わせる厳かなコーラスに，見事なまでにミスマッチの少女声のPatty Crashの絡みつくように粘り気のあるヴォーカル，ドスの効いたラップ，不吉なメロディー・・・・何とも退廃的なサウンドが展開されます。
　中盤では，奔放でソリッドなビートと破天荒なメロディーの如何にもストリートなナンバー「Black Rock」が印象的です。これに続く「Understand」は，ファンキーなオルガンにソリッドなビート，ドスの効いた声でラップをたたみかけるドープなナンバー。
　しかし，アルバムのハイライトは終盤です。美しくも無機質なピアノがアンビエント・ミュージックを思わせ，そこにシリアスな空気のラップが乗っかる「The Dark (Trinity)」，鎮魂歌を思わせる美しくも悲愴な「The Unraveling」。この2曲の余りにも重く沈鬱な空気がジャケットに用いられたロメール・ベアデンのコラージュ・アートと相まって，心に重く響きます。エンディングの「Tomorrow」は，ジミー・クリフの頃を思わせる，のどかで飄々としたレゲエ・サウンドが，終盤ではメロウでジャジーなピアノによるインストへ昇華したか・・・・と思うと，次の瞬間，何とも言えない展開が待ち受けています。
　BmrのWebサイトに掲載されたブラック・ソートの話によれば，このアルバムは，「黒人社会が持つ固定観念を分析した風刺的作品」ということで，タイトルなどから見ても，厳しく不条理なストリートの現実を描いたものと思われるのですが，僕の拙い英語力では，何が歌われているのか（またはラップされているのか）わからず，ちょっと悔しい思いをしています。対訳があるならば日本盤を購入される方が良いかも。

アルバム全体的には前作同様ダークな雰囲気を漂わせる曲が多い。
音的には所謂アブストラクトヒップホップの様な感じ。
一方ではノイズミュージックのアーティストMichel Chionの曲をフィーチャーしていたりもしている。
とても実験的かつ挑戦的な作品。
この様なアルバムがヒットするとまたヒップホップが面白くなると思う。0