大江健三郎 作家自身を語る (新潮文庫) の感想

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参照データ

タイトル大江健三郎 作家自身を語る (新潮文庫)
発売日2013-11-28
製作者大江 健三郎
販売元新潮社
JANコード9784101126234
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 評論・文学研究 » 論文集・講演集・対談集

購入者の感想

 読売記者・尾崎真理子による自伝的ロングインタビューで、意想外に面白かった。『新しい人よ眼ざめよ』を語る周辺は、いつもの大江のキレイゴト的口吻になってしまっているが、「奇妙な仕事」の発想のもとになった東大病院に入院した友人・石井晴一が自殺未遂をしたことが分かったりする。あるいは光の名前を「カラス」にしようとしたとか、メキシコの酒場で偶然ファン・ルルフォに遭遇した話とか、大江の一側面であるユーモアが発露している。
 あるいは、倉橋由美子が上流の人という感じがしたとか、安部公房と絶交したいきさつとか、最後の一問一答で「嫌いなタイプの人間」を訊かれて「あいつ」と答えているのは江藤淳だろう、とか、相手が死んでいるせいか忌憚がなく面白い。1987年ころから「売れない」作家になっていったというところもいいし、それでいて文藝ジャーナリズムが発掘しようとする新人にも、ちくりと批判をしている。
 本多勝一の『大江健三郎の人生』が出てうつ状態になった話もあり、これを読むと本多って悪いやつだなあ、と思うのがおかしい。
 天皇制の話はない。読売だからかな。 

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