リアル・スティール [Blu-ray] の感想

｢ロッキーシリーズ｣に燃えた世代は胸を熱くし、｢ガンダムシリーズ｣を信奉するメカ好きは見事なCGに心を踊らせ、｢家族愛ドラマ｣に弱い親達は父子の絆に涙する。
本作は、実はかなり上質なヒューマン･ドラマなのだが、ロボット･ボクシングのハイテク感がどうしても子供向けに映りやすいので損したかも知れない。でも、行き当たりばったりのヤサグレ人生だったヒュー･ジャックマン演じるチャーリー･ケントンが、父に見捨てられ母をも失った息子マックスとの再開と、ボクサー時代の輝きを信じてジムを守る恋人ベイリーの支えにより再生していくストーリーは、それだけで一つの映画が出来る濃厚さ。特にそれぞれの孤独を抱える三人の演技は自然で清々しく、テンポも良くて気持ちいい。そこに近未来ロボットの格闘エンタメを味付けしたのが本作だ。
また、旧き善きアメリカンドリームへの憧憬を嫌味なく取り上げたのが本作の特色だ。健気に闘う旧式スパーリング用ロボットATOMと王者ゼウスとの壮絶な死闘はロッキーとアポロのオマージュだし、息子との関係修復や広大な原野を旅するトラックは、同じくシルベスター･スタローン主演のアームレスリングを描いた｢オーバー･ザ･トップ｣のコンボイ野郎のオマージュで、そのストレートなリスペクトには｢これがアメリカだ｣と開き直った潔さすら感じられ、それも悪くない。
その他にも、趣向を凝らした闘技場や個性的なロボット達、南部WASPの悪役と黒人賭博胴元の対立、闘技の日本発祥設定が判るドーム前のガンダム像やアジア人デザイナーなど、細かな作り込みや遊びが満載で、そのサービス精神旺盛さにお腹一杯だ。
最近ブーム感のあるAIリスクを感じない、純粋ロボットに感情移入できる懐かしさが堪らない。
ベイリーに｢あなたなら出来る｣と励まされて闘う父チャーリー、その姿を見つめるマックスは何度観ても涙に抗えない。色々な意味でノスタルジーと先進技術をヒューマンドラマに上手く融合させたセンスが素晴らしく、幅広い層の方に愉しんで貰える名作です。

（2012.5.17　特典名称の変更に合わせ、タイトルと本文の一部を修正しました）

本商品「DVD+ブルーレイセット」に収録されている特典のうち、
「ショーン・レヴィ監督による音声解説」はDVDのみに収録され、
ブルーレイ盤には収録されません。

同時発売の「ブルーレイ（2枚組／デジタルコピー & e-move付き）」に
収められているブルーレイ盤は本商品に含まれるものとは異なり、
「セカンド・スクリーン」（iPadアプリ連動特典）、
「ショーン・レヴィ監督による音声解説」が収録されています。

したがって、「セカンド・スクリーン」以外の
「ブルーレイ（2枚組／デジタルコピー & e-move付き）」に含まれる特典は、
「DVD+ブルーレイセット」の2枚のディスクで一応すべて観ることができます。

音声解説をブルーレイで観たい方、
デジタルコピーや「セカンドスクリーン」などiPadを活用した機能を使える環境にある方は
「ブルーレイ（2枚組／デジタルコピー & e-move付き）」を、
デジタルコピーなどが付いているよりはDVDの方が活用できる、DVDケースでもかまわないという方は
本商品「DVD+ブルーレイセット」を、
ブルーレイだけ、またはDVDだけを希望する方は、
いずれ発売されるであろう単品版／廉価盤を待つのが良いかと思います。0