変身 (角川文庫) の感想

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参照データ

タイトル変身 (角川文庫)
発売日販売日未定
製作者フランツ カフカ
販売元角川書店
JANコード9784042083061
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 文芸作品 » ドイツ文学

購入者の感想

有名作品、”変身”ですが、何とも理解し難い小説だなぁというのが直感で感じたことでした。というのも単に主人公グレーゴルはある日の朝、突然毒虫になってしまい、その家族の一部始終を記載した作品で、出来事をたんとんと述べているだけなのである。
世間的に輝かしい人が一気に転落すること(ホリエモンみたいな)のメタファーなのかなぁと思いながら読んでいました。
物語としては、あまり進展のない退屈なものだと思います。

こんな人に勧めます。
1.古典文学の何が楽しいのかを考察したい。短い作品なのですぐに読み切れます。
2.たんたんとした物語にも登場人物の感情を考えるなど何か考察しながら読める人。

こんな人には勧めません。
1.物語は起承転結で揺れ動かないと楽しめない人。
2.毒虫になったグレーゴルの人間から毒虫になるまでの心理描写を期待している人。

『変身』の視覚化は大変だったろうと思う。カフカ自身がグレーゴルの姿を視覚化することに反対だったからだ。そして「変身」だが、もともとのタイトル(Die Verwandlung)は「変貌」「変化」の意味合いで、そして「虫」に変身したといっても、その虫は「昆虫」の意味ではなくネズミなど害獣を含む広い意味をもった「Ungeziefer」であった。

訳文どおり、虫に変身したとしよう。虫であるならそういう描写はありえない矛盾したいくつもの描写がここにはある。さらにグレーゴルの思う「虫」と、まわりの大人が見た「虫」が、同一であるかどうかはわからない。「虫」に変身したグレーゴルをグレーゴルだと認識した根拠も不可解だ。まったくの「ゴキブリ」だったらグレーゴルとは思えないだろう。どこかにグレーゴルの痕跡がなくてはならない。なら、どのような姿をしていたのか。

そういう矛盾したというか、統一した世界を描いたとはとうていいえない作品がカフカの『変身』だった。しかしこのおかげでというべきか、作品世界の迫力は並のものではない。その後の野蛮な20世紀を予告した、予見の文学といっていいものになった。

『変身』を絵本にすることには、このように錯綜した作品世界を縮小していくことになり、その縮小には何重もの困難さがあっただろうと思う。牧野良幸の銅版画は、この世界に静かな諦念ともいうべき情緒を導いて、好感がもてた。

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