死のドレスを花婿に (文春文庫) の感想

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参照データ

タイトル死のドレスを花婿に (文春文庫)
発売日2015-04-10
製作者ピエール ルメートル
販売元文藝春秋
JANコード9784167903565
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 文芸作品 » フランス文学

購入者の感想

50代で遅咲きの作家デビューを果したフランス・ミステリー界期待の新鋭ルメートルの本邦初紹介となる今話題の長編第二作です。本書には著者がヒッチコックの世界を意識して書いたと言うだけあって、冒頭からノスタルジーを呼び起こす懐かしい異常心理サスペンスの香りが濃厚に漂っています。
二十代後半でベビーシッターとして働くヒロインのソフィーは何やら訳ありの雰囲気で自分の過去を封印して生きている。自分は長い間ずっと頭がおかしいのだと自覚している彼女は、暫らくは幼い男の子レオの子守りをして順調に暮らしていたが、最近になって徐々に不安な気持ちが忍び寄る気配を感じ出す。そして、ある朝遂に戦慄と狂気の事件が幕を開け、彼女は一転して慌しい逃亡生活へと突入するのだった。
第1部ソフィーの章で一番印象的なのは、きっと誰もが古典的な恐怖映画で見た記憶がありそうなお馴染みの名場面、深い眠りから目覚めるとおぞましい死体が転がっていて、自分も血まみれだったりするという相当にショッキングな状況です。しかし第2部フランツの章に入るとすぐに謎は解明されてしまい早くも事件の全貌が見えて来ます。ここまで来ると著者の狙いが複雑な謎解きパズルにはなく、人間の暗く偏執狂的な異常心理をこれでもかと徹底的に描く事にあるのだと解って来て、読者は執拗な細部の描写にぞっと震えるような戦慄を覚えながら、結末は一体どうなるのかという興味に引き摺られて最後まで一気読みしてしまうでしょう。本作は著者が「異常ではあっても、非合理ではないように」とリアリティーを重視する姿勢を貫いた為に、意外性の面では不十分に思いましたのでもう少し捻りがあれば更に良かったなと惜しまれます。解説に書かれた情報によりますとデビュー作も本書に負けない位に面白そうですので一刻も早い紹介を望むと共に、まだまだこれから先が楽しみな著者の活躍に大いに期待したいと思います。

引き込まれてしまいました。その女アレックスより好きかもしれません。ちょっと表現はグロいかな…とも思ったけれど。

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文藝春秋から発売されたピエール ルメートルの死のドレスを花婿に (文春文庫)(JAN:9784167903565)の感想と評価
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