東大塾 社会人のための現代中国講義 の感想

本書は、東京大学の教員を中心にしておこなった講義（東大塾）内容（現代中国の特徴や問題点）をまとめたものであり、I政治、II外交、III経済、IV法・社会の４分野に分けられ、全10講で構成されている。
　第一線で活躍している教員が自らの専門領域について紹介・解説しており、おおよそ日本における中国研究・中国理解の水準が読み取れる。内容的には、特にI政治、II外交の一部分で批判的（中国の動向に対して）な論調になっているが、新聞や雑誌などではあまり紹介されない記述も少なからずあることから、中国認識を再考させられるきっかけにもなる。
　一方、本書のまえがきには「一般の方々を対象に…」と記されているが、そうであるならば、日本での中国人留学生の状況、訪日中国人観光客の状況、中国で生産・営業活動をおこなっている日系企業や従業員の状況などを紹介してもよかったのではないだろうか。そうすれば、日本人（読者）にとって、中国をより身近に感じることができ、実益（本書から得られる）も多いのではと感じる。