堀部安嗣作品集: 1994-2014 全建築と設計図集 の感想

かなり気合いの入った作品集である。
買って後悔することはないと思う。
この作品集の良いところは図面である。
図面がとても見やすい。
図面の表現に力が込められている。
図面の情報量が多く、出し惜しみがない。
この作品集の悪いところはバランスである。
初期のページ数が少ない印象。
「なんであの作品の写真がないの？」というところがある。
伊豆高原の家の「あの写真」もない。
過去のヒットソングは歌わないというこだわりだろうか。
そんなところもまた堀部氏らしい作品集と感じた。

版元のサイトに「品切れ・重版未定」と表示されたのであわてて購入しました。

判型はＡ４横を下方向に3.5cm拡張したような変形で，これにより1/100図面の収録が可能となっています。建築物の写真集の中には，写真が主で，図面は極小のものがページの片隅にあるだけ，というものもありますが，本書の図面は写真と対等以上の存在で，各作品の1/100平面図のほか，1/50矩計図，1/10詳細図等々が適宜収録されています。これは，著者が，設計者と図面と建物の関係を作曲家と楽譜と演奏の関係になぞらえて「図面こそが設計者の本意を如実に表す純粋な表現であり、正真正銘、設計者の"作品"だと思う」(P6)としていることの表われだと思います。

CADで描かれているのにもかかわらず佇まいや雰囲気が立ち上がるような美しい図面が印象的です。

なお，ボール紙の輸送用ケースに入って届きますが「この箱は輸送用のもので，ブックケースではありません」と注記されています。

私は購入していませんが書店で見てきましたので、近くに本屋さんがない方のための参考に。
しっかりした大型本で、写真もきれい、図面やテキストも適度、ポイント的に詳細図まで入っていて、
堀部安嗣さんの建築が好きな方にはたまらない満足のいく本だと思います。
簡単なものですが、ボール紙のケースに入っています。これはちょっと中途半端な感じであと千円高くても
もう少し立派なケースならもっとありがたみがあったかもしれません。
ただ私は以前ＴＯＴＯの作品集を買っており、堀部さんの作風としてもとりわけ目新しい部分が
あるわけでもないのでＴＯＴＯのもので十分かなと思いました。