ドラゴンバスター の感想

ナムコはなぜかドラゴンが好きである。ドラゴンを冠したタイトルを現在までに何本出しているのだろうか。
まぁ『剣と魔法』とか『指輪』とか『王女』とかそういう西洋ファンタジーに時代が飢えていたということなのだろう。
ちょうど戦後の世代がアメリカ映画に豊さと希望を見いだしていたのと同じだ。そこには恐るべき力も絶世の美女も極上の食べ物も全てが存在した。
翻って高度経済成長を成し遂げ物質的豊さの恩恵を十二分に受けて育った現代っ子がなぜ『ドラゴンクエスト』の発売に長蛇の列を作ったりドラゴンを倒す作業に熱中しなければならなかったのか。
…いや、もっと直戴に言ってしまおう。
なぜ時代がファンタジーを求めるのか、と。
なぜ現代っ子が塔や洞窟に潜入し『兜割り』や『垂直斬り』を駆使して剣を振るいながら時にはマジックアイテムに頼りながら、なぜ危険なドラゴン討伐に挑み王女を奪還したかったのか。或いはしなければならなかったのか。
それは現代に蘇ったある種のイニシエーションだったのかもしれない。
そう、人間が一人前になるための儀式である。
民主主義による科学的な統治…すなわち管理社会。
一見、清潔で全てルール通りに運営される管理社会も行き過ぎればそれはやはり人間性を損なう。ちょうど日本の管理野球がベースボールの醍醐味である〈野性味〉をも削ぎ落としてしまったように…。
だから我々はもう一度取り戻さなければならない。
…そう、ドラゴンバスターを!!